透析中の皮膚の痒みと漢方薬(60歳男性:身長167cm体重80kg)

2年前より人工透析を始めたが、半年くらい前より皮膚に痒みが出始めた。病院でもらったステロイド系の軟膏を塗ると、一時的に痒みは治まるが、またすぐに痒くなる。はじめは足のすね辺りが痒かったが、最近太ももやお尻、背中の辺りまで痒くなり、全身へと広がってきた。患部は黒ずんでいる。だんだん広がっているのを不安に思い、漢方薬で体の中から治そうとご来店された。

漢方薬の黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を処方。1ヵ月後にご来店されると、痒みが半減しているとのこと。そのまま同じお薬をお出しした。さらに1ヵ月後、痒みはほとんど治まったとのことだった。その後も継続して漢方薬を飲まれているが、今のところかゆみは出ていない。

漢方薬は、外から痒みを抑えるのではなく、体の中に溜まっている痒みを引き起こす”毒”を排出解毒する。特に透析中の方や腎臓が悪い方は、体内に毒が溜まりやすいので、漢方薬が有効なことが多い。

頻尿と漢方薬(32歳女性:身長159cm体重47kg)

数年前より小水が近くなり、冬場には日に15~20回くらい出る。また、寒いところや冷えたりすると、何度ももよおし、残尿感も出る。膀胱炎にもなりやすい。体質的には色白で、冷え性の寒がり、冬場は電気毛布がかかせない。また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を好み、聞けば冬でも冷たいまま飲んだり食べたりしているとのことだった。

漢方薬は苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)を処方し、冷たい牛乳やヨーグルトを食べたりするときは、レンジで温めてもらうようにしてもらった。服用後すぐは、小水がかなり増えたが、その後1ヶ月が経つと、小水の数が少しずつ減ってきたとのこと。さらに1ヵ月後には、日に7~10回程度になり、残尿感もなくなった。

漢方では、頻尿または尿が出ないという人の体質を”水毒体質”という。水毒とは、体に余分な水が溜まっているために、それが悪さを起こすことである。この方の場合、水毒があるために、冷えると頻尿になっていた。漢方薬で水毒がのぞかれたので、頻尿が改善した。