熱中症と漢方薬(19歳女性:身長165cm体重50kg)

2年前より時々熱中症になるようになった。症状は、頭痛、吐き気、だるさ、ひどいときは部活中に倒れたこともある。時季はおもに夏場が多いが、夏でなくても、コンサートや人ごみなどで起こることもある。

体質は、食べても太りにくい痩せ型の体質。汗はかきやすく、手の平の汗、寝汗もある。また、疲れやすく、のどの渇きがあって、炭酸ジュースなどをよく飲む。乗り物酔いしやすい。生理はあるが、1~2ヶ月に1回とやや乱れ気味。生理痛は時々ひどくなる。

漢方薬の黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を処方。飲みはじめてから、異常な汗や手の平の汗、寝汗が減った。また、体重も3kg 増え、疲れにくくなった。また、生理が1ヶ月に1回規則正しく来るようになった。漢方薬を飲むこと約1年、いまだ熱中症は出ていない。

この方に処方した黄耆建中湯は、胃腸を丈夫にして、体の汗の異常を治す。彼女は胃腸が丈夫になったことで、体重がやや増え、疲れにくくなり、のぼせやすかった体質が改善された。その結果、人ごみなどの熱気がある場所に行っても、のぼせなくなり、頭痛や吐き気などの症状が出なくなったと考えられる。

のどのつまりと漢方薬

33歳女性 身長154cm 体重50kg 

1年前よりのどのつまりを感じる。病院でみてもらったがどこも異常はない。性格はまじめで内向的。時々眠れないことがあり気分が落ち込みやすい。不安感は強い。

漢方ではのどのつまりを咽中炙臠(いんちゅうしゃらん)と呼んでいる。これは、気分の停滞やうっ積が、水毒(水の停滞)を連なって、のどに”痞(つか)え”という形で現れている。神経質で内向的な人に起こりやすい。漢方では、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)という薬をよく使う。この方にもこの薬をお出しし、約3ヶ月でつまり感は完全に無くなった。中には息ができなくなるほど苦しむ人もいる。