生理痛と漢方薬(当帰建中湯:とうきけんちゅうとう)

30歳女性 身長156cm体重47kg

生理が始まった頃よりひどい生理痛に悩む。鎮痛剤は日に2回、1日目から4日目まで服用。痛みがひどいと血の気が引き起きていられないこともある。子宮内膜症の手術もしたが、痛みは治らない。体質的には冷え症で、便秘気味。吹き出物もできやすい。肩こり、頭痛あり。朝は起きづらく、午前中は疲れて力が出ない。

漢方薬の当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)を処方。飲み始めて1ヵ月後、冷えや便秘は良いが、生理痛は改善されない。しばらく同処方を継続してもらい、3ヶ月が経過した頃より生理痛がやわらぎ始める。その後も漢方薬は服用中だが、生理痛はひどくならず、朝もすっきり起きれるようになった。

卵巣(チョコレート)のう腫と漢方薬

33歳女性 身長164cm体重59kg

生理痛と不正出血があったため病院へ。検査結果は子宮内膜症と左側の卵巣チョコレートのう腫。チョコレートのう腫の大きさは、4.7cm×3.8cm。経過観察でこれ以上大きくなる場合は手術による切除をしたほうがよいとのこと。ご本人はなるべく手術を避けたいのでよい漢方薬はないかと御来局された。

体質的には足が冷えて顔がのぼせるタイプ。顔には吹き出物ができやすい。大便2~3日に1回、小水は日に5~6回。甘い物をよく食べる。肩こり、腰痛などあり。漢方薬は、桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)を処方。飲み始めてしばらくすると、大便が開通し、日に1回に。さらに生理痛が軽減し始める。漢方薬を飲み始めて半年後の検査でチョコレートのう腫の大きさが2.5cm×2.4cmになっているとのこと。病院では、まれに破裂することがあると言われたという。漢方では、チョコレートのう腫は、瘀血(おけつ)=汚くなった古血と考え、瘀血を取り除く桂枝茯苓丸加薏苡仁をよく処方する。この方の場合も、破裂かもしくは、漢方薬により、のう腫が血液中に吸収され、排除された可能性もある。いずれにしても、劇的に効いた症例である。