今月のおめでた(39歳女性:身長158cm体重85kg)

2年前より体外受精を始めた。1度目の採卵ではHMG注射を行い、7個採卵できた。そのうち4個が受精したが、移植してもすべて育たなかった。2度目の採卵では注射は行わず、クロミッドを服用し、点鼻薬(スプレキュア)を使用したところ、卵は2個採卵でき、そのうちの1つは胚盤胞まで育てて移植した。すると、妊娠反応で陽性が出たが、その後育たず、心拍は確認できなかった。さらに3度目の採卵でも同様、胚盤胞まで育った受精卵を移植したが、やはり育たなかった。そのため、漢方で体質改善をしてみようとご来局された。

体質は、便秘(3~4日に1回)で顔色は赤ら顔、舌の裏は紫色の血管が浮き出ていた。生理痛は20代前半から激しく、いつも鎮痛剤を飲んでいる。またふだんから頭痛も起こしやすく、鎮痛剤はよく飲む。

漢方的にみると、典型的な瘀血(おけつ)体質だ。瘀血とは、血がどろどろしている状態のことをいう。また、この方は汗をかきにくく、足もむくみやすい。過去に何度かダイエットを試みたこともあるが、あまり効果がなかった。漢方薬は、瘀血を取り除く桃核承気湯(とうかくじょうきとう)と、体に溜まった余分な水を出す防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)を交互に飲んでもらうことにした。すると、飲みはじめてすぐに大便が毎日出るようになり、2週間が経った頃からむくみもなくなってきた。また、飲みはじめて3ヶ月が経つ頃には体重が80kgまで落ちた。その後、また病院で採卵し(2個採卵でき、1個が分割せず、1個が胚盤胞まで分割)、移植を試みたところ、妊娠反応が陽性になり、そのまま順調に育って無事ご出産された。