膝の痛みと漢方薬(防已黄耆湯:ぼういおうぎとう)

65歳女性 身長156cm 体重60kg

3年前より両膝が痛み始めた。特に左ひざはひどくなると水が溜まるため、病院で抜いてもらっている。また痛みがひどいときは、痛み止めの注射を打つ。

体質的には、色白で汗をかきやすく、下半身はむくみやすい。また冬場は下半身が冷え、膝の痛みも悪化する。また、食べるものは甘いものが好きで、果物をよく好む。

漢方では、こういうタイプの方の体質を”水毒体質”と呼んでいる。水毒とは、体に余分な水が溜まりやすく、関節痛や神経痛などを起こしやすくなる体質である。この方の場合も、甘いものや果物を好むため、体に余分な水が蓄積し、膝の痛みを起こし始めたと考えられる。特に女性の場合、閉経すると体が冷えやすくなって関節が弱くなる。

この方には、体の余分な水を取り除いてひざの痛みを直す防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)を処方した。飲み始めて一ヶ月がたつと、小便がよく出るようになってむくみが減った。さらに飲み続けて3ヶ月がたつと、ひざに水が溜まらなくなり痛みをとれてきた。ひざの痛みもとれてきたので、防已黄耆湯を飲んでもらいながら運動(ウオーキング1時間程度)をしてもらうようにした。その後、痛みは出なくなり、半年後に漢方薬を止めたが再発はみられない。