帯状疱疹と漢方薬

54歳 男性 身長168cm 体重61kg

1年目に、右のおでこの辺りに帯状疱疹発症。それ以来神経痛に悩まされる。ひどいと目も開けることができなくなり、夜も痛みで目が覚める。また、冷えたり、天気の悪い日にはいっそう痛みが増す。

体質は、肩がこりやすく、五十肩の既往がある。また、冬には坐骨神経痛もよくでる。また、血圧を下げる薬とコレステロールを下げる薬を飲んでいる。お酒はビール1~2本/日。

漢方薬は桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)を処方。また、ビールは身体を冷やすので焼酎のお湯割を飲むようにお伝えした。そして1ヶ月分を飲み終わる頃に、痛みが軽減し始める。その後、徐々に痛みがやわらぎ、1年後に痛みが消失。坐骨神経痛も出なくなった。それからは、ときどき調子が悪くなりそうなときに飲むようにしてもらっている。

漢方では神経痛の原因を、水毒(すいどく)と考える場合が多い。水毒とは、身体に溜まった余分な水である。水は身体を冷やし、神経痛や関節痛を増す。寒い日や雨の日に悪化するのは水毒が関係する。桂枝加苓朮附湯は、身体に溜まった余分な水を排出させることで、神経痛を治す漢方薬である。

坐骨(ざこつ)神経痛と漢方薬:当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)

51歳女性 身長152cm  体重48kg

2~3年前より、右の腰からお尻にかけて痛みがあり、ひどいときは太ももの裏からひざ裏にかけて痛む。特に秋口や春先などの季節の変わり目に悪化する。朝起きるときは特に調子が悪くなり、少し動いただけでも強い痛みが走ることがある。痛み止めやシップも貼ったりしたが、あまり効果は出なかった。

体質的には、腰から下が冷えやすく、冬場は靴下をはかないと眠れない。また寒くなると小水が近くなる。食べ物の好みは身体を冷やすものが多く、果物(ミカン、カキ、バナナなど)はよく食べる。

漢方薬は、腰から下を良く温めて血行を促進させる当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)を処方した。飲み始めると、2,3日して足が温かくなってきた。また10日が経過した頃から痛みが和らぎ、1ヵ月後には痛みがほぼ消失した。その後は果物を減らすようにしてもらい、漢方薬も薄めてお茶代わりに飲んでもらっているが、今のところひどい神経痛は起きていない。

最近は、健康志向も高まり、果物を多く摂られる方も多いが、摂り過ぎは身体を冷やし、神経痛などの原因になるので注意が必要だ。それと普段から身体を良く動かしたり、ストレッチをまめに行うことも、神経痛を悪化させないためにも必要だ。また、漢方薬(煎じ薬)は薄めてお茶代わりに飲んでおくと、痛みがずっと出なくなることもある。