漢方医学より

漢方では病気の症状をとって名前にしたものが多く胃がんであれば隔いつ、糖尿病は消渇、扁桃腺炎は喉痺と呼びます。また、近代医学では1つの病名のものも漢方ではその発症部位によって病名が変わります。瘍庁(できもの)のようなものも、背中にできれば発背(はつばい)、臀部にできればよ

う、顔にできれば面庁(めんちょう)と呼びます。漢方医学は自然科学発達以前に完成しているので、理化学を応用した精密な検査を行うことができなかったため、『隔いっ』といった病気の中には胃癌や食道癌ではない類似の症状をしめす病気が混在していたと考えられます。したがって、漢方の病名によって治療法を決めるのは危険であり、さらに漢方の病名を近代医学の病名にあてはめ治療法を決めるのは、もっと危険であるといえます。証を診断して、証によって治療法を決めるので病名の診断を誤っても正しい治療ができるとも言えます。