西洋医学で治りにくい病気こそ“漢方”の出番です…皮膚病、不妊症、癌、膠原病など

むつごろう薬局「自然の漢方薬で赤ちゃんはきっとできる」

今月のおめでた
今月のおめでた

おめでた情報はこちら

むつごろう畑の近況報告

当帰の種蒔が始まりました。例年より二週間早くなりました。畝幅50センチで筋蒔きで撒いてみました。これからが雑草との戦いです。無事大きくなってほしいものです。

 


むつごろう新聞

トピックス情報

当帰の苗が奈良からやってきました。苗植えが始まります。今年の当帰は例年より二週間は早い到着です。全長20㎝、私は未だにこんな素晴らしい苗は作ることができません。漢方堆肥の畑に植えるのは楽しみです。


ノルウェーからのお便り
紫雲膏
むつごろう八選茶

漢方勉強会 無門塾発表の内容

2012年06月13日

コウノトリ早く来い(無門塾発表)

(2012年6月10日北里大学)

むつごろう薬局 薬剤師 鈴木 寛彦

証(しょう)を見る

不妊症をはじめ婦人科疾患で使われる漢方薬の多くが『金匱要略』からの薬方であるため、まず大局的に陰性瘀血と陽性瘀血に分けて考えている。(勿論、『傷寒論』の三陰三陽の6ステージ1)も頭に入れて)望診では、特に舌診、顔色、生理の状態、基礎体温表を確認、聞診では、声の大きさ、話すスピード、口臭を確認、問診ではこちらの思い込みは無くして、本音が言える環境を作るようにしている。切診は、その最後の確認。 具体的に不妊症では、陰性の場合、血色は悪く貧血気味で、疲れやすく、経血はうすく、冷え性であり、生理痛は鈍く続く痛みで、陽性の場合、顔色は赤黒く、経血は黒っぽく塊が多く臭いが強い。生理痛は激しく痛む。また冷え方は、足先のみが冷たく全体的にはそれほどではない。

陽性瘀血 陰性瘀血
(積極的で熱を帯び、新陳代謝が活発) (消極的で寒で、新陳代謝が衰える)
桂枝茯苓丸

(桃核承気湯)

大黄牡丹皮湯
(当帰芍薬散)
温経湯
芎帰膠艾湯

(当帰・川芎(当帰芍薬散)で除かれない瘀血は、桃仁(桂枝茯苓丸)の油を使って溶かし、それでも落ちない汚れは大黄・芒硝を加えて落とし(桃核承気湯)、その後熱を帯びて固まった瘀血は腸癰となり、大黄・牡丹皮・瓜子(大黄牡丹皮湯)をもって除く。それでも落ちない陳旧瘀血の癌などの疾患は、アブ、ヒル、ゴキブリをもって除く。(抵当湯、大黄しゃ蟲丸)

  • 当帰芍薬散:(当帰・川芎・芍薬・茯苓・朮・沢瀉)
  • 温経湯:(呉茱萸・半夏・麦門冬・生姜・川芎・芍薬・当帰・人参・桂枝・阿膠・牡  丹皮・甘草)
  • 桂枝茯苓丸:(桂枝・茯苓・牡丹皮・桃仁・芍薬・煉蜜)

「婦人宿癥病有り、経絶えて未だ三月に及ばず、而して漏下を得て止まず、胎動きて臍上にあり、癥痼妊娠を害すと為す。血とまざる所以の者は、その癥去らざるが故なり。当にその癥を下すべし。」(金匱要略婦人妊娠病篇)

(以前から血塊のあるご夫人がご妊娠して生理が止まり三ヶ月も経っていないのに、経水漏下して止まらない、だから流産するかというとさにあらず、胎児が臍上にあって動き、出血が止まらない。これは癥のために漏下するところの血にして妊娠を妨げているものであるから、まずこの癥を去って胎児を安じなければならない。)

駆瘀血作用の強さを仮にその薬方の成分から比べると、抵当湯、大黄牡丹皮湯、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、(大黄しゃ蟲丸)、当帰芍薬散、温経湯、の順番と考える。桂枝茯苓丸は、それ以上の陽明病期の薬方と違い熱や炎症がまだ軽く瘀 血が凝結していないので、初めに桂枝で気滞を回らせ、茯苓で蒸発しそうな水分を下に引き下げることを行い、下に下がった水分と桃仁の油をもって下部の血を 潤し、芍薬で緩めて、同時に牡丹皮にて血中の伏熱を瀉し瘀血を除く。駆瘀血剤でありながら桂枝、茯苓が薬方名の冠となっている理由がここにあると考える。 よって本方を使う目標は水が完全に干上がってしまう少し前の状況と想像し、その少量の水の変異を症候として捉えていくことが大切と考える。雨の前の偏頭痛や、疲れやすさとむくみであり、それが全体の症候の2割程度。のぼせ、浮腫んだ顔、頭重、頭眩、頭痛、時に動悸、舌質はやや紫で歯根が少しあり舌の裏の血管の怒張、足首から先の冷え、静脈瘤、子宮筋腫、子宮出血、やや強めの生理痛、歯ぐきが紫色、肉食、油物の摂取量が多い、を私は目標にしている。

  • 桃核承気湯:(桃仁・桂枝・芒硝・大黄・甘草)
  • 大黄牡丹皮湯(牡丹皮・桃仁・瓜子・芒硝・大黄)

また、体内を流れる血流、リンパ液およびその流れをコントロールする神経系(これが即ち、漢方で言う’気・血・水’の考えの基本)が正常に作動していること が大切で、不妊治療はこれらの作動の歪みを是正してノーマルな循環形態に戻すことも必要。気のめぐりが悪くなると、のぼせて顔がほてったり、頭痛したり、 ひどくなると動悸がしたり、めまいが起こる。咽中炙臠もこの症状。血のめぐりが悪くなるのは、’瘀血’の症状であり、水のめぐりが悪くなると、水滞とよばれ、胃の中でチャポチャポ鳴ったり、咳(湿性胸膜炎)や引きつり痛んだり、むくみがでたり、冷えの原因にもなる。この気滞、水滞を取り除くことにより、瘀血が改善され妊娠に至るケースも頭に入れておかなければならない。2)

不妊症こだわりの生薬

田畑先生曰く、漢方薬を効かせる方法は、的確な「証」選びと、良質な生薬選びだと。自家製の薬草作りは限られた環境と、多大な労力がかかる為、安定供給は難しい。その為出来るだけ生薬問屋とより深い関係を保ち、よい生薬を入れていただく。また、薬方の主薬となる生薬にはこだわりたいものである。

当帰

セリ科の多年草の根。無農薬、有機栽培を試みている不妊症の主力生薬。子供ができない婦人が、実家に帰り当帰を飲んで温まって、再び夫の所に帰ると子供ができたことから、「当に夫に帰る」という意味より付けられたと言う。媚薬、解毒、強心剤としての強い効果が天使(angelus)の力に例えられAngelicaと言う。当帰の最高級品は、大深当帰(おおぶかとうき)と言い、馬の尾のような根っこをしている。味は、甘くて、後に辛い。2月に、42℃のお湯で当帰の湯もみ(漢方の修治)をする。整え乾燥させた姿は、まさに女性の横座りに似ている。これも婦人病に効く理由であろうか。当帰の効能は、血を温め巡らす。血を和し、寒を散じる。 むつごろう畑にて、過去の収穫された当帰のエキス含量は、平成16年43.6%、17年40%、18年36%、19年52.2%、20年46.5%。21年35.6%、22年41%、23年46%(局法規格値35.0%以上)であった。

薬剤師、一色直太郎先生(1879-1940)の良否鑑別では、「冬に根を掘り、虫のつかぬやう又永く貯へられるやう、半ば乾してから熱湯の中にほうり込み、暫くの後取り出して日光にあてて乾したものであります。之を選むのには肥えた大きい鬚根の澤山ついてある馬の尾のやうな恰好で、外皮が褐紫色内部が黄白色で味は始め少し甘く後の少し辛くて能き香と潤のあるものがよろしい。所謂馬尾当帰と申すのがこれであります。」

芍薬

ボタン科の多年草の根。東邦大学小池教授に頂いた芍薬を一度収穫(5年目)した。来年2度目の収穫予定(10年目)。加工中はペオニフロリンの匂いが鼻につくが、製品となった芍薬の香りはいつも私の緊張した肩の力を緩めてくれる。雑草がまだ賑わいださない春先に、地面から血が吹き出すごときに芽を出す芍薬。その効果は、筋肉の緊張を緩め、地面から吹きだす血の如き血の巡りを良くする。

膠飴

飴は能く胃の気を助け、脾を和し、腸胃を寛にする。また血分を寛にするともあり、多く食べれば必ず歯を損じるとある。田畑先生にこの飴の大切さを教えていただき、先生自家製の飴のおかげで助けられたお客様は数知れない。飴作りは、もち米をふかし、その中に芽が出始めた大麦をよく混ぜる。鏡餅の大きさに固めて、お湯を引いた浴槽の上に一晩寝かせる。翌日もち米が糖化されておいしそうな飴の出来上がりである。実はここからが大変。糟と飴を遠心分離機にて分けるのだが、コップいっぱいの飴をとり出すのに半日を要した。しかもお風呂の温度が高すぎて糖化が進みすぎてすっぱい飴の出来上がり、初めての飴作りの失敗談である。余談では有るが、この飴作り以降、飴の魅力に取り付かれ、兄弟子の真岡の塚田先生からご紹介を受けた金沢の水あめを取り寄せたことがあった。さすが本場、もちの10倍はあろう粘りは、私の歯の中の詰め物をすべて剥がしてしまった。「多く食べれば必ず歯を損じる」を、身をもって理解した一幕であった。

阿膠

温経湯、芎帰膠艾湯の一成分。ロバの皮の’にこごり’にこだわった。血液を滋潤しかよわせ、止血し切迫症状を緩和する。地黄とともに血分の要薬。麦門冬・阿膠は、肺を潤し血分を滋潤して、瘀血を和す。地黄・阿膠は、血熱を瀉し脱血の要薬。

柴胡

セリ科の多年草の根。私が始めて薬草栽培に挑戦したのが柴胡である。最高級品は静岡県三島市周辺で採れる野生もので、「三島柴胡」といい、現在は流通していない。繊細な植物で、大変な思いをして育て上げたにもかかわらず、2年後の収穫量はごくわずかである。秋には可愛らしい黄色の花をつけ、私の気分をほのぼのさせてくれる。主成分はサイコサポニンで、精油成分を多く含むため収穫した葉っぱに火をつけると、めらめらとよく燃える。この精油が、人の肝臓を含む胸郭内に溜った汚れた油(コレステロール)を溶かし流してくれるのだろうか。効能は、「胸脇の気熱を和す」を言い、「胸脇苦満」のときに使用する。漢方の医学書『傷寒論』では病邪が胸郭内に入り戦いが始まりその結果胸が苦しくなる状態である。付随して、微熱、口の苦味、めまい、のどの乾き、などの症状も現れる。柴胡に甘草を組み合わせれば、現代人のストレス症状に効果を表し、気分を安らかにすることから、私は、生理前のイライラやエリートの方の不妊症3)に使用し、よい結果が出ている。

瘀血の初期が、にきび、生理痛、生理不順とすると、中期では子宮内膜症、卵巣囊腫、後期で不妊症として現れる。よって不妊症の治療は婦人科疾患すべてに応用されると考えている。例えば、二十歳前後の生理に伴うひどいニキビ、生理痛、頭痛をビタミン剤、鎮痛剤によるその場しのぎの治療で曖昧にすると、三十歳前後には、子宮内膜症、卵巣囊腫が悪化して手術適応域に進み、仕事のストレスがピークになる三十五歳前後では、なかなか子宝に恵まれなくなるといったケースが多く見受けられる。逆に、懐妊されて生理が止まることが子宮内膜症、卵巣囊腫の治療になり、出産による瘀血排出効果は絶大なもので、ひどい生理痛、六か月に一回の生理周期の方が、出産後痛みはなくなり、月一度の生理周期に改善されたケースもある。漢方薬で懐妊出産後、再び生理が始まっても子宮内膜症、卵巣囊腫が悪化されにくいケースがよくある。 また「証を合わせる」「良質な生薬を選ぶ」に加えて、精神的に安心して頂くことも結果を出すためには大切な要素になっている。気の病変は、気逆と気滞で、顔のほてり、頭痛、めまい、動悸が気逆の症状で、気滞は咽中炙臠である。

また、最近頓に多くなっているとり越し苦労、精神症は心煩と言われ、柴胡・甘草の二味の薬徴が力を発揮する。繰り返しになるが気の回りをよくすることで血の回りが良くなり比較的早く懐妊されるケースがある。加えて高温期が上がらない方、排卵しにくい方、よい卵が採れない方、卵の成長が遅い方、着床が出来ない方、流産を繰り返す方が多く、漢方薬を服用すると同時に運動、休養、食事、気分転換の養生のお話は欠かせなくなっている。

生活養生

瘀血と生活スタイルとは密接な関係にある。まずは食事で、陽性瘀血(桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯を使うタイプの人)の方は、肉、サケ、マスなどの赤身の魚や油をさけ、野菜大豆中心の切り替えたほうがよい。また寒がり、冷え性、疲れなどの陰性瘀血(温経湯、当帰芍薬散、芎帰膠艾湯を使うタイプの人)の持ち主は果物、野菜、お酢などの体を冷やす食べ物は気をつけたほうがよい。特に甘いものはすべて止めていただくことが望ましい4)。次に運動。ふくらはぎの筋肉をつけて足の裏のつぼを刺激して下半身の血行をよくするため、縄跳び2000回をお勧めしている。最近では、内臓が上下することにより子宮、卵巣の血流が良くなると考える。そして、冷え性の方には腹巻がよい。(別紙;陰陽食事表参考)

(参考文献)

  • 漢方フロンティア   田畑隆一郎著   源草社
  • 漢方ルネサンス    田畑隆一郎著   源草社
  • 傷寒論の謎      田畑隆一郎著   緑書房
  • 薬徴         田畑隆一郎著   源草社
  • よくわかる金匱要略  田畑隆一郎著   源草社
  • 漢方サインポスト   田畑隆一郎著   源草社
  • 漢方 第三の医学   田畑隆一郎著   源草社