潰瘍性大腸炎と漢方薬(小建中湯:しょうけんちゅうとう)

34歳男性 身長169cm体重59kg

2年前より腹痛・下痢が続く。ひどいと血便が出ることもある。疲れやすく、仕事のストレスも多い。特に昼食後から夕方にかけて倦怠感が強く、お腹も張る。また、ガスも出やすく臭いも気になる。

漢方薬は小建中湯(しょうけんちゅうとう)を処方。1ヶ月服用すると、下痢、腹痛、お腹の張りが和らぐ。飲み始めて3ヶ月が経過する頃には大便も普通便になり、お腹の張りやガスッ腹もほぼ改善し、疲れにくくなる。その後、4年間服用しつづけているが、特に悪化はみられず調子は良い。

消化器系の病気と漢方薬

【胃・十二指腸潰瘍と漢方薬】
胃・十二指腸潰瘍は、コーヒー・タバコ・酒などの嗜好品や暴飲暴食、精神的ストレス等によって起こります。漢方薬では、胃や十二指腸の血行をよくしていくことで筋肉のこりをほぐし、潰瘍を防ぎます。ストレスが多く、イライラしやすい人には柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を使い、甘い物が好きで、胃液が上がってくる人には安中散(あんちゅうさん)を使います。

【潰瘍性大腸炎と漢方薬】
慢性化しやすく、ひどいと血便が続きます。漢方では、体質や症状によって薬を使い分けていきます。ストレスが多く、イライラしやすい人には、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、下痢しやすく、疲れやすい人には小建中湯(しょうけんちゅうとう)を使用します。

【便秘と漢方薬】
便秘は、腸管の狭窄・弛緩、長結腸等によって起こりますが、漢方では、症状や体質によって薬を使い分けていきます。頑固な便秘で、便がカチカチに硬くなっている人には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、下剤を使うとすぐ下痢になる腸の弱い人は、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、神経質な婦人で、生理前などに便秘になりやすい人には加味逍遥散(かみしょうようさん)を使用します。

【胆石症と漢方薬】
胆石症は、胆のうや胆管に石がたまる病気ですが、漢方では症状や体質によって薬を使い分けます。例えば、暴飲暴食するタイプの人で、お腹がはって苦しい人は、大柴胡湯(だいさいことう)、発作で痛みが激しい場合には、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を使います。

【急性・慢性肝炎と漢方薬】
漢方では、急性・慢性といって薬を使い分けることはせず、症状と体質によって薬を使い分けていきます。例えば、のどの渇き・むくみがあり、黄疸が出ている人には茵ちん五苓散(いんちんごれいさん)、お腹がはって口の中が苦くなり、吐き気のある人には大柴胡湯(だいさいことう)を使用します。

【膵臓炎と漢方薬】
ストレス、アルコール、食べすぎ等によって、膵臓が自己消化する病気です。漢方では、症状と体質によって薬を使い分けていきます。例えば、神経質で頭に汗をかきやすく、疲れやすい人には柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、太っていてお腹がはって便秘になりやすい人には大柴胡湯(だいさいことう)を使用します。