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むつごろう薬局「自然の漢方薬で赤ちゃんはきっとできる」

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むつごろう畑の近況報告

蒼朮(そうじゅつ)の花が満開です。別名「おけら」とも言います。とても可愛らしいい真っ白い花です。蒼朮は胃腸によく働き、また利水剤としてめまいを治します。沢瀉湯という回転性眩暈の漢方薬に含まれます。


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駿府薬草園のクコの花が咲きました。とても可愛らしい花です。これから真っ赤な実がついていきます。ここは滋養強壮の働きや、目の疲れもとります。


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徳川家康公の秘伝の漢方薬

2019年10月07日

 

 

江戸時代で75歳まで健康で長生きをし、子沢山に恵まれた家康公の秘訣を探る私旅は、NHK関係のスタッフ皆様方がきっかけを作っていただき、スタートすることが出来ました。

 むつごろう薬局静岡店が開局したのは、1996年8月30日。後から知ったのですが、このあたりは家康公の自前の薬草園があった場所。そして静岡店のオーナーは有名な真田六文銭の真田家の末裔。歴史の渦中にのまれている心情です。静岡はとても歴史がある街で、その地名からもよく分かります。この場所にいて、漢方薬を作っている私にとって家康公の飲んでいた漢方薬を製造することは当に男のロマンですし、ぜひ一度挑戦してみたかったことです。大学教授、生薬問屋の学術の方の御協力を得て、宋田一先生のレポート、山崎光夫先生の連載、桑木宗秀先生の論説、田畑隆一郎先生の御著書を参考にさせていただき、また、少しばかりの手持ちの学術書を読みあさり、やっとたどり着くことが出来ました。

        

さて、その秘伝の漢方薬は「八の字(はちのじ)」と言います。成分は、乾地黄・山茱萸・沢瀉・茯苓・赤石脂・巴戟天・牛膝各1両、山薬・杜仲・兎絲子2両、五味子6両、肉縦容4両で計12種類の成分が入っています。この処方は、中国の宋八代皇帝「徽宗(きそう)」がまとめた太平恵民和剤局方に無比山薬円と同じもので、これを参考にして、日本の漢方医、三宅意安が延寿和方彙函(えんじゅわほういかん)で「八の字」との名で書います。また、無比山薬圓は、金匱要略(きんきようりゃく)という西暦100年位に書かれた医学書に載っている八味丸を参考にしていて、日本では、曲直瀬道三の衆方規矩(しゅうほうきく)に登場しました。この『衆方規矩』によって、古典の八味丸の分量「両」を現在の分量「匁(もんめ):1匁は、約3.75g」初めて置き換えられました。1両を10匁として書いているのです。実際に家康の秘伝の漢方薬「八の字(はちのじ)」を作る上で、実際の作るボリュームに悩みましたが、この換算で作ってみると、ちょうど良い量となりました。(乾地黄・山茱萸・沢瀉・茯苓・赤石脂・巴戟天・牛膝各37.5g、山薬・杜仲・兎絲子75g、五味子225g、肉縦容150g全量862.5g)実際に、撮影で使った乳鉢を撹拌しているシーンがその全量です。話は前後するのですが、なるべく原典にそって製造することが私の目的でもありましたので、下拵えとして、乾地黄、沢瀉、肉縦容、兎絲子はお酒で、杜仲は酒と生姜汁半々で48時間浸し(この時間は定かでない、またこの作業は胃にもたれないようにするために行う)、24時間常温で乾かし、他の生薬とも薬研で粉末にする前は焙烙(ほうろく)で軽く乾かしました。そしてこれからが大変で、それぞれを薬研にて粉末にしていきます。特に五味子、杜仲、山茱萸は、それぞれ2時間要しました。全てが粉末に仕上がったのは約10時間、手の平が鈍く痛みました。話は戻り、乳鉢で撹拌後約8時間湯煎して濃縮させた蜂蜜(煉蜜という)を、少しずつ混ぜていきます。最後はそばをこねるように火傷に気をつけながら手で練り上げます。そこからゴルフボール大に小分けして、丸薬製造に入れ丸めます。この製造機は日本漢方協会会長お手製のものを貸していただきました。球同士がくっ付かないように注意しながら丸くしていきます。後は乾燥させて出来上がりです。

        

この漢方薬は、晩年の家康公の老化防止の保健薬として使われていました。成分から見ると「腎虚(じんきょ)」といって、下半身の力が弱まり疲れやすくなる症状によいのですが、若くして胃腸が弱い方が年をとると「腎虚」になる場合が多いのです。家康公も胃腸が弱かったと聞いています。また、五味子は肺に、肉縦容は足腰に、杜仲は高血圧に、兎絲子は明目(目を良くする)、赤石脂は胃腸に、巴戟天は頻尿に、牛膝は膝の痛みに働きます。五藏六府を守っているバランスのよい漢方薬なのです。そして、家康は自家製の漢方薬を家臣にも飲ませていたと聞いています。

 自分の弱点を知ることが名将の秘訣であるならば、家康公は自分の身体の弱点も良く知っていました。また、医学的にも人の身体のメカニズムもよく勉強されていました。しかしそれだけではなく、難解の医学書を読破し、自ら漢方薬を作り上げるといったあくなき探究心。薬剤師として家康公に少しでも近づきたい気持ちで一杯です。

(2019年は、NHK BSプレミヤム放送 「偉人たちの健康診断」に出演させていただきました。)