大腸憩室の症例

82歳の男性。身長155cm、体重55kg。中肉中背で神経質な性格ながら、常に笑顔を絶やさず来店される方です。血圧は正常(最高128、最低70)ですが、足の冷えや手足の乾燥、不眠傾向、胃のもたれを訴えています。排便は1日2〜3回で蠕動運動がやや亢進気味。内痔核があり、小便は日中5回、夜間1回です。その他、めまい、腹痛、腹満、胸やけ、足のむくみ、こむら返り、皮膚のかぶれやすさ、前立腺肥大(1度)も見られます。甘いものが好きで、舌には白苔を認めました。
ある日、早朝3時に激しい腹痛を起こし来院。まず自家製煎じ薬大建中湯を30日間服用したところ、腰痛・足のむくみ・内痔核が少し改善し、排便は3回になりました。しかしガスの滞りによる腹痛が残り、途中げっぷがひどくなったため、旋覆花代赭石湯に切り替えたところ、症状はすっかり改善しました。
ところが、この処方で便が硬くなり、再び胃のもたれ、ガスの滞り、腹痛が現れたため、再度大建中湯に戻しました。1ヶ月後には便の硬さと痔核、ガスの滞りが悪化。さらに半月後には早朝の腹痛がひどくなり、排便も不十分になりました。
そこで大建中湯に加え、腹満を取る桂枝加芍薬大黄湯を併用。これにより、その後1年間は早朝の腹痛がほとんどなくなりました。痔核も時々出るものの、自家製紫雲膏で対処し、症状は安定。表情もさらに明るくなり、笑顔が一段とよくなられていました。
漢方薬は、単独で聞かない場合には、二処方の併用方法がありますが、漢方薬の仲間を無視して組みわせますと漢方薬の働きが変わってしまい効かなくなる場合があります。ご自分で勝手には飲まず先ずはご相談してください。