西洋医学で治りにくい病気こそ“漢方”の出番です…皮膚病、不妊症、癌、膠原病など

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蒼朮(そうじゅつ)の花の開花が終わり、薬草畑では冬支度が始まります。蒼朮の茎はとても固く、そのままの形で春まで立ち続けます。


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5月12日(月)「漢方で健康な身体に」の講演

2008年05月19日

漢方で健康な身体に

薬剤師兼百姓 白井憲太郎

この講演は、「未来の子供の為にあなたができること・・・」を大きなテーマに、今、女性の身体に何が・・・冷え性・生理不順・不妊症・流産癖などの体質を改善するには?そして、アトピー性皮膚炎・喘息・花粉症などのアレルギー体質を改善するには?を考え、正しい食生活・運動などの生活習慣を含めた漢方養生について、話しました。

1.現代人の体質

食生活の欧米化、砂糖の乱用、冷飲冷食、車社会による運動不足、自然環境の破壊・・・など、戦後60年が経った今、私達日本人の生活習慣はずいぶんと変わってきています。そして、その影響からか、以前にはあまり見られなかったような花粉症やアトピー、喘息、子宮内膜症、不妊症、などの病気が急増しています。

私も日々、漢方のご相談をお受けしておりますが、最近特に、不妊症の方が増えてきていらっしゃるかと思われます。戦前や戦後直後の日本では、一家に子供が4、5人いて当たり前でしたし、アトピーや花粉症の子供などもほとんどいませんでした。やはり、今の私達日本人の生活習慣は、何かが間違っているのかもしれません。

私の漢方の流派は、古方(こほう)漢方と言います。これは、古い(薬)方、という意味ですが、今の私達に必要なことは、日本人が古くから行なってきた生活習慣(例えば、お米なら玄米とか、野菜ならその季節に応じた食べ方など)ではないでしょうか。

2.身土不二(しんどふじ)な食べ方

身土不二とは、身も土も二つではない、すなわち身(体)も土(自然)も一体であるという意味です。これは、自分達の住んでいる場所で取れる物を、その時季に食べるのが良いという考えです。

例えば、寒い地域に住むエスキモーの人達は、そこで獲れる脂ののったアザラシやセイウチを食べることで体に脂肪を蓄え、寒さから身を守っています。逆に、暑い地域に住む南国の人達は、そこで獲れる体を冷やすフルーツを食べることで、暑さから身を守っています。もし、これが逆だったら大変なことになります。エスキモーの人達が、フルーツばかりを食べれば、たちまち凍え死んでしまうでしょうし、南国の人が、脂ののった肉ばかりを食べれば、すぐに血液がドロドロになり、感染症にかかってしまいます。では、四季のある私達日本人の場合はどうでしょうか?

皆さん、一日のうちにどのくらい土に触っていますか?私はだいたい3~4時間は触っていますが、農業をやっていれば、何を食べれば良いのかを土(自然)が教えてくれます。

A 春・・・春には、植物達がいっせいに芽を出しますが、私達の体の中の毒素も芽吹きます。アトピー、鼻炎、喘息などのアレルギーや、めまい、頭痛、動悸、不眠、高血圧、吹き出物、痔、などが悪化します。春に獲れる菜の花、フキ、タラ、ゼンマイ、ワラビ、などの山菜の新芽には、体の中の毒素を解毒してくれる働きがあります。冬眠明けのクマは、フキの塔を食べると言いますが、冬眠中は排泄ができず体内に毒素が溜まるため、自然とそういった食べ物を欲するのかと思われます。私達人間の体も、冬場は新陳代謝が落ち、体内に毒素が溜まりますので、春になったらぜひ、山菜等をすすんで食べるのが良いかと思います。また、山菜に限らず、春に旬となる春菊、ほうれん草、ひじき、などの野菜も解毒効果があります。

B 夏・・・夏になると、暑さで体がだるくなり、胃腸や肝臓、腎臓などが疲れます。夏に獲れるトマト、キュウリ、ピーマン、ナス、スイカ、モモなどは、暑くなった体を冷やして、疲れをとってくれます。また、これらの野菜にはビタミンやミネラルが多く含まれているため、汗によって失われたビタミンやミネラルを補ってくれる効果もあります。

皆さん、トウガラシって夏に獲れるのは御存知だったでしょうか?トウガラシは、一見、体を温めてくれそうな感じがしますが、実は体を冷やします。トウガラシの主成分カプサイシンには、発汗作用があり、体を冷やします。また、胃腸を刺激して、食欲を増進させてくれますので、暑さによる食欲減退を助けてくれます。

C 秋・・・秋は実りの季節です。お米はもちろんですが、さつま芋・じゃが芋・里芋などの芋類や栗などの穀物が旬を迎えます。これらの穀物には、糖質がたっぷりと含まれているため、私達の身体に脂肪を蓄えさせてくれます。また、日本近海で獲れるサンマやサバ、アジなどの魚も、冬の寒さに備えてたっぷりと脂がのってきますが、私達の先祖も、そういった魚を頂くことで、脂肪を蓄え、冬の寒さを凌いできました。まさに自然と一体化することで、厳しい冬を乗り越えていたと言えます。

ただ、現代人の場合は、普段から高カロリーな物を食べていますので、食べ過ぎは禁物です。また、秋は、大気が徐々に冷え込み、神経痛や膝の痛み、腰痛、喘息、下痢、などが悪化します。夏場の冷たい物を飲みすぎに注意してください。

D 冬・・・冬には、ショウガ、ネギ、ハクサイなどが採れます。これらの野菜は、鍋物にもよく入れますが、とてもよく体を温めてくれます。特に、ショウガやネギは、漢方薬の原料としても、体を温める目的で使用します。

現代人の体は、とても冷えています。季節外れの生野菜や南国の果物、ヨーグルト、などの摂り過ぎには注意してください。

また、冬場に運動を怠ると、体内に毒素が溜まり、春に持病が悪化しますので、運動はできるだけ心掛けてください。

3.一物全食の考え

一物全食とは、ある物を食べる時、その物のすべてを食べるのが最も体に良いという考えです。

例えば、エスキモーの人達は、寒さで野菜や果物などはできませんが、そこで獲れるアザラシやセイウチの、肝臓や腎臓、心臓、脳みそなどのすべてを丸ごと食べることで、ビタミン不足等にはならず、病気にならないで子孫を残してきました。

私達日本人の先祖も、お米は玄米、じゃが芋やさつま芋などは、皮ごと丸ごと食べていました。また、魚も近海で獲れるイワシ、サンマ、アジなどの小魚を、頭から尾っぽまで、骨ごと丸ごと食べていました。それに比べると、私達現代人はどうでしょうか。お米は白米、小麦は精白されてパンになり、肉や魚も脂ののった柔らかくおいしい所しか食べなくなっています。そして足りない栄養素をビタミン剤などのサプリメントで補っていますが、これでは、栄養素は摂っていても、生命を頂いているとは言えません。

「いただきます」とは、他の生命を頂くという意味だそうです。玄米や大豆、じゃが芋、さつま芋などは、畑に蒔けば芽を出しますが、白米、フライドポテト、スナック菓子、サプリメントなどは蒔いても芽は出ません。食べ物は、精白すればするほど、生命力を失います。”砂糖”は、その最たる物です。

4.砂糖の害

現代人の多くは、”甘い物(砂糖)”に目がないかと思われます。スーパーへ行けば、チョコレートやアイスクリーム、ジュースなどが山積みになっていますし、ファミレスに行けば、メニューにはケーキやパフェが必ず載っています。

私は、現代人の病気(例えば花粉症、アトピー、喘息、生理痛、子宮内膜症、不妊症など)の原因の多くは、”砂糖”にあると思っています。チンパンジーの餌に砂糖を入れると、子宮内膜症を発症し、ウサギの餌に砂糖を入れると、3世代目あたりで、奇形の子供ができると言います。では、砂糖はいったいなぜ、そんなに体に悪いのでしょうか?

砂糖は、体内に吸収されると、ブドウ糖となり、私達の重要なエネルギー源となります。これは、お米や小麦、芋、などの穀物を食べた時と変わりません。ただ、穀物との決定的な違いは、吸収が速く、消化をする必要がないことです。例えば、お米などの穀物を食べた時は、それを消化しようと、口からは唾液が、胃腸からも消化酵素などが分泌されますが、これらの分泌液には、体にとって有害な物質(例えば発がん性の物など)を解毒する働きがあります。また、唾液などは、性ホルモンにも関わっていると言われており、ラットの唾液腺を切除すると、男性ホルモン値が急激に減少すると言います。江戸幕府を開いた徳川家康は、16人の子供を作り、最後に作ったのが61歳(現代に換算すると76歳)だったと言いますが、家康が1回の食事で噛む回数は、約1460回(現代人は約620回)だったと言われています。

こういったことから考えても、噛むことなどを含めた”消化”という大事な生命活動をしないで、急激に血糖値を上げるということが、自律神経やホルモンのバランスをアンバランスにして、いろんな病気を引き起こしてるとも言えます。

また、漢方的に考えると、砂糖は、”水毒体質”の原因になります。水毒とは、体の中に余分な水が溜まった状態です。余分な水は、花粉症や喘息などのアレルギーの原因になったり、体を冷やしたりします。ただ、砂糖も、サトウキビの状態で食べるぶんには何も問題はありません。サトウキビのままなら硬くてよく噛む必要がありますし、繊維も豊富で、余分な水を大腸へ導いてくれるため、水毒体質にはならず、便秘にもなりません。やはり食べるということは、単に栄養素だけを摂るのではなく、なるべく自然のままで、しっかりと消化をしていくことが大切なことだと言えます。

5. 便利さの弊害

戦後の日本は、急激に近代化し、すべてにおいてとても便利になりました。しかしながら、便利なことが必ずしも良いことだとは言えません。なぜなら、人間の体は、使わなければ、すぐに退化してしまうからです。骨折をしてギブスをしたことがある人ならお分かりだと思うのですが、ギブスをすると、その部分の筋肉は急激に衰えます。現代人は、自動車ができて歩く量が減ったことや農業従事者から頭脳労働者が増えたために、足腰の筋肉が衰えています。漢方では、足腰(下半身)の衰えは、生殖機能を低下させると考えます。現代人に、精力減退や不妊症、子宮や卵巣の病気が増えている原因の一つとも言えます。他にも、鎮痛剤や下剤などの薬が簡単に手に入るようになったことで、病気をかえってこじらせていることがあります。例えば、生理痛は、子宮が収縮する際に、周りの神経や筋肉を引っ張ることで起こりますが、鎮痛剤は、子宮の収縮を抑えることで、痛みを止めます。でも、それでは根本的な解決にはならず、反って子宮内に古血を残すことになり、内膜症や筋腫などを誘発しかねません。漢方では、生理痛は、子宮が冷えているために、周りの筋肉等が萎縮していることが原因で起こると考えますので、子宮を温める薬草で治療していきます。

現代人の体は、とても冷えています。戦後に冷蔵庫が普及したことで、冷たい物をいつでも摂ることができ、ハウス栽培や貿易の向上は、季節外れの野菜や南国の果物をいつでも食べれることを可能にしました。いつでも、どこでも、何でも食べれるようになったことが、反って自然ではなくなり、現代人の体を弱らせていると言えます。

6. 病は”気”から・・・

皆さん、”気”は御存知ですか?”気”とは、東洋医学独特の考えで、体には、目に見えない”気”というエネルギーが流れていると考えます。”気”は、簡単に考えますと、「あの人は今、”気”持ちが落ち込んでいるな」とか「いつも元”気”だな」というようなものです。他にも、いつも不安な人は、気がふわふわと落ち着かず、めまいや頭痛、動悸などの病気が出やすくなったり、逆にいつも気を張り詰めているようなストレスの多い人は、胃潰瘍や腸炎、不眠、頭痛などの病気が出やすいと考えたりします。

病は”気”からと言いますが、私達の体は、いつも気持ちがリラックスして、安心した状態が最も健康的だと言えます。特に今の時代は、メールやインターネットなどが盛んな反面、人と人とのコミュニケーションが少なくなり、いろんな情報が簡単に手に入るのですが、どれが本当か判断しにくく、何かと不安になりがちです。

“安心”は、最高の薬となります。私達むつごろう薬局でも、患者さんとのご相談を非常に重視しており、1回のご相談で、1時間くらいはとるようにしています。中には、5年も6年も赤ちゃんができなかった不妊症の方で、遠方から漢方の御相談にいらっしゃり、2日後ぐらいに妊娠反応が出たりする方もあります。こういう場合は、漢方薬が効いたということもあると思うのですが、それよりも、話をじっくりと聞いてもらえて、安心したというほうが大きいかと思われます。

また、気持ちと同時に、日々行なっている”呼吸”もとても大切です。人間の体のエネルギー源は、約85パーセントを呼吸から摂っていると言われています。食事からよりも、全然比重が大きいのです。ですので、正しい呼吸をするかしないかで、体に及ぼす影響は、随分と違ってきます。

正しい呼吸は、まずお尻を後ろに引き、臍下丹田(せいかたんでん)を前に突き出します。そして、あごを引いて、肩の力を抜き、鼻からゆっくりと、空気を吸い込み、臍下丹田に溜まるようにし、その後、口からゆっくりと吐き出します。呼吸が深く、しっかりと、酸素・炭酸ガス交換ができるようになれば、疲れにくくなるのと同時に、自律神経も安定していきます。

7. 文化を大切にしましょう

肉類や乳製品しか食べないモンゴルの遊牧民の人達は、冬が終わると、馬などの家畜のミルクを腐らせて飲み、下痢をさせると言います。モンゴルでは、野菜や薬草があまり採れないために、腐ったミルクを飲むといった方法で、体に溜まった毒素を排出させているのです。これは、厳しい環境を生き抜くために、永い年月をかけて作り上げた人間の知恵です。エスキモーの人達もそうですが、その国その国の文化にはすばらしい物があります。

戦後の私達日本人は、あまりにも急激に文化を変えてしまいました。農業自給率は、先進国で最低の40%を切り、運動不足によるメタボリックシンドロームが話題になっています。甘い物、冷たい物、こってりした物などの刺激物が蔓延し、日本の食文化が崩壊しました。その結果、アトピーや喘息などのアレルギー疾患が増えたり、内膜症や不妊症などの婦人病が増えたと言っても過言ではありません。今こそ、日本の文化を見直すときではないでしょうか。

弥生時代に稲作が伝わってきてからは、私達日本人は、”農”と共に文化を築いてきました。水田は、夏の日照り時に蒸発し、温暖化を和らげると言います。私達は、お米を食べることで、体が健康になると同時に、地球温暖化にも貢献しているのです。また、土を触ることは、自律神経を安定させ、病気を治すことにもつながります。ネット、株、経済ももちろん大切なことですが、”農”を見直すことは、本当の意味で、健康で豊かな国づくりができると言えます。

参考文献
  1. 小倉重成著:自然治癒力を活かせ(創元社)
  2. 幕内秀夫著:体に「ごはん」が一番(風濤社)