西洋医学で治りにくい病気こそ“漢方”の出番です…皮膚病、不妊症、癌、膠原病など

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むつごろう畑の近況報告

静岡の薬草畑も少しずつ秋を感じるようになりました。芍薬の地上部は枯れていますが、当帰は、まだまだ成長しています。秋の収穫が楽しみです。


むつごろう新聞

トピックス情報

新しい紫雲膏が出来上がりました。一日がかりで出来上がりました。店内は紫雲膏の香りで一杯です。この紫雲膏は、真岡の塚田先生から伝授頂いた海老塚流紫雲膏です。


ノルウェーからのお便り
紫雲膏
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漢方勉強会「無門塾(北里大学)の発表」 当帰

2014年04月17日

「薬徴提要」

平成26年度・無門塾(第19回)北里大学薬学部(港区白金) 
【平成26年4月13日から、平成27年3月8日13時30分〜14時00分(30分)】

当帰

はじめに

梅の花がほころぶころに当帰加工の作業が始まる。無農薬、有機肥料の当帰作りを本格的に始めて今年で11年目になる。過去10年間の当帰のエキス含量は、平成16年43.6%、17年40%、18年36%、19年52.2%、20年46.5%。21年35.6%、22年41%、23年46%、24年苗が不作により収穫なし、25年検査中(局法規格値35.0%以上)。

栽培の始めは、15センチほどの大深当帰の苗を南に80度傾けて植えることからはじまる。秋によく肥えた当帰の根を掘り起こし土のついたまま約1ヵ月陰干とする。葉を除き、40℃のお湯につけて湯もみをして形を整える。再び天日で乾燥して乾燥機にて仕上げ、クラッシャーにて粉砕する。虫がつきやすいので、そのまま強化ビニールに入れ、温度15℃湿度55%の保冷庫に保存する。

当帰の鑑別法

冬に根を掘り、蟲のつかぬやう又永く貯へられるやう、半ば乾かしてから熱湯の中にほり込み、暫くの後取り出して日光にあてて乾かしたものであります。之を選むのには肥えた大きい鬚根の澤山ついてある馬の尾のやうな恰好で、外皮が褐紫色内部が黄白色で味は始め少し甘く後に少し辛くて能き香と潤のあるものがよろしい。所謂馬尾当帰と申すものがこれであります。坊間には大深当帰と天上当帰の二種あります。大深当帰とは紀州の大深、大和の上市地方より産出する上等の当帰で、鬚根が眞直で澤山著いてあるが、天上当帰は大和の國中邊で産出する品で、多くは鬚根が不正に彎曲してあるのみか、附著せる鬚根も極めて疎らで質も硬い下品の品であります。    (一色 直太郎著)

薬徴提要

味甘辛温。腹中を温め腹中の痛みをとる。滋潤。強心作用。(※排膿)
(※、著者は、紫雲膏や帰耆建中湯から考えて水溶性の膿の排出効果を考えた)

セリ科の多年草の根。無農薬、有機栽培を試みている不妊症の主力生薬。子供ができない婦人が、実家に帰り当帰を飲んで温まって、再び夫の所に帰ると子供ができたことから、「当に夫に帰る」という意味より付けられたと言う。(偽FSH作用によるもの)

媚薬、解毒、強心剤としての強い効果が天使(angelus)の力に例えられAngelicaと言う。これは、新陳代謝機能を振起復興される剤で、傷寒論中では当帰の能は附子剤に近いが、少しく水邪の停滞が有るとみている。

当帰の最高級品は、大深当帰(おおぶかとうき)と言い、馬の尾のような根っこをしている。味は、甘くて、後に辛い。整え乾燥させた姿は、まさに女性の横座りに似ている。象形薬理論的に言えば婦人病に効く理由であろうか。  

古方薬品考:
味甘辛、気大温にして芳発す、故に経脈を温達し、気血を調和する能有り、古人は芎窮と同じく用いて、婦人産後の気不足、腹痛及び癰疽を療し、膿を排し、痛を止む (内藤尚(ひさ)賢(たか))

古方薬議 :
味甘温、※咳逆上気(のぼせて咳が出る)、婦人漏下(子宮出血)、心腹の諸痛を主り、腸胃、筋骨、皮膚を潤し、中を温め、痛みを止む (浅田宗伯)

薬性提要 :
味甘温、血を補い、燥を潤し、内寒(内臓の冷え)を散じ、諸瘡瘍(皮膚の浅いところに発してもりあがり、痒みがあり、破れたあと糜爛(びらん)する皮膚病の総称)を主る。(多紀元簡(たきもとやす))

漢方フロンティア :
血を和し、寒を散じ、陰証の血証を治す

(当帰は肥えて大きくて髭根が沢山ついていて馬の尾のような形で外皮は褐紫色、内部は黄白色。味は少し甘く、後少しく辛く、よい香りがして潤いのあるもの。所謂大深当帰と呼ばれるものがよい)

二味の薬徴 

当帰・川芎 :
血を和し寒を散じ、血気の滞りを行らし、陰証の瘀血を和す主薬となし、冷え、生理異常、下血、帯下等を治す
当帰芍薬散、芎帰膠艾湯、当帰散、温経湯、奔豚湯、続命湯

当帰・芍薬 :
血を和し寒を散じ、筋中の血流をよくして温めて腹痛を治す
当帰芍薬散、芎帰膠艾湯、温経湯、当帰建中湯

当帰・大棗 :
血を和し寒を散じ、胃を滋潤して血のめぐりをのびやかにして、身体の殻冷えを温散する
当帰四逆湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯

当帰・黄耆 :
益気生血の効能を現わす
帰耆建中湯、十全大補湯、補中益気湯

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

静岡といえども、冬の寒さはお腹に来るときが多く、「手足厥寒し、脈細にして絶せんと欲する。若し其の人、内に久寒ある者は、・・」の当帰四逆加呉茱萸生姜湯のお世話になることが多い。この薬方は傷寒論太陽病篇「汗出で悪風」の桂枝湯に、当帰・細辛・呉茱萸・木通が加えたもので、本方の脈細は、外気の寒さから身を守るために血管を縮めたための`細`で、厥陰病篇に顔を出し、「手足厥逆し、脈微にして絶せんと欲し、」の通脈四逆湯と鑑別が必要である。また、少陽病虚証に位置するため、陽明病の入り口のわずかな厥(背微悪寒)の薬方「脈滑にして厥する」の白虎湯と比較している。白虎湯の`身重く`は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の疲れよりは遥かに軽い。当帰を主薬に置き、桂枝湯で外気からの寒さを防ぎ、桂枝湯中の大棗を倍量させることにより表に縮む血分を滋潤して順通下降させ、木通は当帰、桂枝、細辛と水血を緩め温めて利尿し厥寒を治す。また、呉茱萸は生姜とペアーを組み脾胃の気と水を温散下降し水の動揺逆行を和し`内に久しく寒あるもの`を治す。貧血気味の顔色で、頭痛持ち、冷えてお腹が痛み、しもやけになりやすい、腰痛があり、足の付け根が突っ張り、南国の果物や甘物が好物な方を目標に私は処方を決定する。運動不足で甘いもの好きな現代人の体内は余分な水分でいっぱいであり、水は体内をよく冷やし、体外はエヤコンでよく冷やされる。まさに、婦人科の病気を作りやすい環境であり、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の出番が増えている。

症例1 にきびと子宮内膜症 22歳 女性 身長172㎝ 体重53kg
体質: 痩方、蝋人形のごとく寒々とした顔色、神経質、気が沈む、足の冷え、お風呂は短い、足のむくみ、大便1日1回、小便日に7回、唇のあれ、肩首の凝り、冷えっ腹による下痢、足のつり、生理痛、生理周期28日、両卵巣が腫れ(左が大きい、内容物は分からず)
貧血、甘いものを好む。
舌診:湿潤無苔、舌深静脈やや怒張

経過
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(自家製当帰、ベトナムNo3桂枝、自家製芍薬、国産古生姜、河南大棗、内蒙古甘草、遼寧細辛、江西呉茱萸、徳島木通)を服用後4ヶ月、皮膚のザラザラ感がよくなり、検査で卵巣が縮小。5ヶ月後、左卵巣の大きさは4㎝、右は親指サイズ変化無し、生理痛が無くなり、にきびが生理前でも新しいものが出来にくくなった。甘いものを減らし体重は3Kg減少。2ヵ月後体重が55Kgと増え再び生理痛と出血が増えた為、桂枝茯苓丸(ベトナムNo1桂枝、北鮮茯苓、安徽牡丹皮、陝西桃仁、自家製芍薬)に変更し生理痛がなくなり、生理量減少。その後、生理がだらだら続き、お腹の冷えと、冷たいものを食べると下す症状が再び出始め当帰四逆加呉茱萸生姜湯に戻す。左卵巣は3.6㎝と小さくなり、にきび顔からきめ細やかな皮膚に戻り、その後ご来店されず。

参考文献:

漢法フロンティア  (田畑隆一郎著 源草社)
薬徴        (田畑隆一郎著 源草社)
比較傷寒論     (田畑隆一郎著 源草社)
漢法ナビゲーション (田畑隆一郎著 源草社)
漢方第三の医学   (田畑隆一郎著 源草社)
よくわかる金匱要略 (田畑隆一郎著 源草社)
和漢薬の良否鑑別法及調製方 (一色直太郎著)
古方の薬味         (根本義雄著)