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むつごろう畑の近況報告

静岡の薬草畑も少しずつ秋を感じるようになりました。芍薬の地上部は枯れていますが、当帰は、まだまだ成長しています。秋の収穫が楽しみです。


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新しい紫雲膏が出来上がりました。一日がかりで出来上がりました。店内は紫雲膏の香りで一杯です。この紫雲膏は、真岡の塚田先生から伝授頂いた海老塚流紫雲膏です。


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漢方勉強会「無門塾(北里大学)」の発表 芍薬(しゃくやく)

2014年06月09日

平成26年度・無門塾(第19回6月)北里大学薬学部(港区白金)【平成26年6月8日、13時30分〜14時00分】

芍薬  

はじめに

10月、彼岸から遅れること約20日。秋の匂いが畑を覆いはじめる。地面から、吹き出してくる雑草も勢いが衰え、畑に静けさが戻ってくる。畑の風景は、「傷寒論」でいう、「太陰病」になっていく。当帰の葉も少しずつ黄色になり、収穫の時期が近づく。既に地上部が枯れている5年目の芍薬も収穫の時期に入る。芍薬の掘り起こしはこれまた大変で、スコップのみでする作業は実に骨が折れる。直径1.5mの円から出てきた芍薬は、まるでたこの足のような様相で、その一本一本は子供の腕ぐらいの太い根っこであった。根茎と根を切り離し、土を落として川砂を入れ、たこ洗い機で洗うこと20分まるで洗剤を入れたような泡立ちでその中から出てきた芍薬は薄皮を剥がされ、まるで別人のような色白美人となる。芍薬の主成分ペオニフロリンの香りは、生は刺激が強く作業中少し辛くなるときがあるが、乾燥させたものは非常に心地よく全身の筋肉を緩めてくれる香に変わる。後はクラッシュして、お茶箱に入れて保存される。気がついたら、掘り起しから3ヶ月の月日が経っていた。

芍薬の鑑別法

「冬に根をとって粗皮を去らず、日光にて乾燥したものを生乾と申します。所謂赤芍であって、太さ指のやうに能く肥つて硬く、外皮淡紅色を帯び内部白色を、呈せる長い棒状をなしてある味の苦く渋いものがよろしい。細いものや、短く折れたものや、内部の褐色に変じたもの及び虫食ひのあるものはいけませぬ。白芍と申すものは冬に根を採り直ちに粗皮を除いて、沸湯の中に投げ入れて煮沸すると、湯が黒色を呈するやうになります。それを引き揚げて乾燥したものでありますから効力は弱くなつてあります。」(一色 直太郎著)

薬徴

結実して拘攣(結実はしこり。筋肉が引きつり痙攣すること)するを主治する。傍ら腹痛、頭痛、身体不仁(知覚麻痺)、疼痛、腹満、咳逆(咳嗽して気が上衝)、下痢、腫膿を治す(吉益東洞)

古方薬議

味苦平、血痺を除き、堅積(けんしゃく)(腫物の硬結せるもの)を破り、痛みを止め、中を緩め、悪血を散じ、蔵府の擁気(気がふさがる)を通宣し女人一切の疾、並に産前産後の諸疾を主どる。(浅田宗伯)

漢方フロンティア 

血を和し、筋中の血行をよくし、腹痛、腹満、頭痛、麻痺、疼痛、咳逆、下痢、癰膿、瘀血を治す

薬徴提要

味辛温、血を和し、表裏の筋肉を緩め血行をよくし、収縮性の痛みを治す

雑草がまだ賑わいださない春先に、地面から血が吹き出すごときに芽を出す芍薬。その真赤な色からは、婦人の血証(出血、瘀血)を想像させ、その香りは、筋肉の緊張を緩める。芍薬は「血を和し、筋中の血行をよくする」血の剤であるが、実はその香りが、表裏の筋肉を緩めた結果、血行をよくし腹痛、腹満、頭痛、麻痺、疼痛、咳逆、下痢、癰膿、瘀血を治す、気剤の働きも持ち合わせていると考えている。「血中の気薬」と言われる川芎よりもその働き方は微かで、芍薬の働く頭痛は、川芎ほどではない。

芍薬は、甘草、桂枝、黄芩、葛根、当帰、枳実、朮、阿膠と二味の薬徴を組むが、傷寒、金匱の薬方に置いては甘草との組み合わせが最も多く十六にもなる。その病位も陽明病以外は用いられている。芍薬、甘草の二味の薬徴は、「筋中の血行をよくし切迫症状を緩和し、両腹直筋の異常緊張を緩めて急痛、腹痛、疼痛を治す」であり、経方の権與、桂枝湯の身疼痛から始まり、芍薬を倍量して虚満の桂枝加芍薬湯、膠飴を加えて「腹中急痛」の小建中湯と変化する。

症例1) 第5腰椎椎間板ヘルニアを患い、左のふくらはぎの痛みと腫れが3ヶ月間続き、ステロイド点滴で完治せずその後ボルタレン坐薬を日に2回使用していた30代の女性に、腹満を目標に、桂枝加芍薬湯加黄耆附子服用1ヶ月で痛みが止まった。2ヶ月後廃薬。その方には20年間の類乾癬であり、皮膚の色は渋紙色で、かゆみはなく、乾燥あり、左乳腺の張りがあり、血圧が高く(最高156,最低95)、足は冷え、寝つき悪く、鳩尾少し下を按圧して痛み、腹痛、口臭、口内炎、貧血がひどく立ちくらみが多い。ステロイドと、ブラックライトで治療中。「当帰・芍薬・川芎・地黄」の温清飲を3ヶ月。その後、柴胡、ヨクイニンを加え、7ヶ月。悪性リンパ球が0になった。再検も異常なし。

症例2) 17歳の男子。部活は、名門陸上部のマラソン選手。2年前に月に13Kg減量してから貧血に悩まされている。Hbは11.8、身長173㎝、59Kg。訴えは、ガス腹と練習中に倒れること。腹直筋の異常緊張あり。小建中湯と服用して1ヶ月、HBは13に上がり、筋肉の炎症反応も正常となり、腹満、立ちくらみが減り、その後3ヶ月服用後廃薬となった。「芍薬・甘草」が、筋肉中の血流をよくして、筋肉の炎症を沈め、また、「膠飴・甘草」の甘さが、緊張を緩め、「生姜・大棗」が飲食物の吸収を助け「桂枝・甘草」が裏の気を表位まで回らせ、「大棗・芍薬」が上半身に上がった血を消化器に戻した結果、血が作られたのだと考察する。

症例3) 真武湯の目標になる「地震感」「雲上歩感」のひどいめまいの42歳女性に、唇の渇き、腹痛、腹満を目標に小建中湯を出す事一週間、血圧、体温が上昇し、腹満、腹痛が無くなり、午前中のめまいがなくなった。その後1ヶ月で廃薬となった。小建中湯は、痛み以外は、長期服用で効果を出すことが多いと言われるが、「証」が合ったときの変化は、実に即効的である。

芍薬・甘草の二味の薬徴

筋中の血行を良くし切迫症状を緩和し、両腹直筋の異常緊張を緩めて急痛、腹痛、疼痛を治す。

桂枝湯3・・・・・・身疼痛。           
小青竜湯3・・・・・喘息等の発作時には腹直筋が緊張する。
柴胡桂枝湯1.5・・・支節煩疼。心腹卒中痛。
四逆散10分・・・・柴胡・枳実に合して水血の攣急凝結を和し、腹中痛、下重を治す
桂枝加芍薬湯6・・・裏血が凝結して腹満し、ときどき腹痛。
小建中湯6・・・・・中気が虚憊して血分が通わず拘攣し腹中痛む。
芍薬甘草湯4・・・・諸筋攣急。
烏頭湯3・・・・・・歴節疼痛。
芍薬甘草附子湯3・・攣急疼痛で寒冷の強い者。附子・甘草の効が大きい。
桂枝芍薬知母湯3・・諸肢節疼痛。ときどき腹痛。                              
温経湯2・・・・・・腹中攣急疼痛する者多し。

二味の薬徴図 芍薬・甘草

桂枝・芍薬の二味の薬徴 

桂枝の温中散寒作用と芍薬の緩急止痛作用の組合せで、裏虚の腹痛に常用。桂枝は表を守り衛、芍薬は裏に働き栄、栄衛併せて人体の機能を調和する。

桂枝湯3・・・・・・・・解肌。
黄耆桂枝五物湯3・・・・身体不仁。
桂枝茯苓丸 等分・・・・腹痛。
土瓜根散3分・・・・・・少腹満痛。
桂枝加芍薬湯6・・・・・腹満時ニ痛ム。
少建中湯6・・・・・・・腹中急痛。

黄芩・芍薬 胃熱を冷まし筋中の血流をよくし、下利、腹痛を治す。

黄芩湯2・・合病で、心胸の血気の上迫につれて胃中以下の水が和せず、服薬によらずに下利。
大柴胡湯3・・・心下急。黄芩はまた半夏に合する。

葛根・芍薬 血分を和して自下利を治す。

葛根湯2・・・・合病、自下利。

当帰・芍薬 血を和し寒を散じ筋中の血流をよくして、温めて腹痛を治す。

当帰四逆湯3・・・寒冷によって増悪する腹痛(疝)を治す。温めるに当帰・大棗の薬徴あり。
当帰芍薬散1斤・・・腹中こう痛。
当帰建中湯6・・・少建中湯証で、血寒し、陽気不足。
枳実・芍薬 気滞を通じ筋中の血流をよくし、腹痛、腹拘攣及び癰膿を治す。
枳実芍薬散 等分・・・水血の凝結が強く、腹痛煩満して臥することもできない。
大柴胡湯3・・・水飲が心下に凝結して心下急、鬱々微煩。
朮・芍薬 腹痛、下痢等を治す。
真武湯3・・・腹痛、自下利。
阿膠・芍薬 血流をよくし血分を滋潤し、心煩、出血等を治す。
黄連阿膠湯2・・・心煩
芎帰膠艾湯4・・・漏下、下血。

まとめ

我々の体は、自然治癒力を発動させるために、筋肉を収縮させ病邪を追い出そうとするが、その結果、瘀血や痛みを生じさせる。芍薬はその引きつりを弛緩させることにより苦痛を除くだけでなく、血流をよくして修復を速める。その為芍薬は収縮をとめてはいけない病位(陽明病)や、治癒するために心臓の収縮を強めなければならない心悸亢進(脈促)には使用しない。
むつごろう薬局 鈴木寛彦

(参考文献)
漢法ナビゲーション      田畑隆一郎著         源草社  
漢方フロンティア       田畑隆一郎著         源草社       
漢方ルネサンス        田畑隆一郎著         源草社
傷寒論の謎          田畑隆一郎著         緑書房       
薬徴             田畑隆一郎著         源草社
よくわかる金匱要略      田畑隆一郎著         源草社       
漢方サインポスト       田畑隆一郎著         源草社
漢方 第三の医学       田畑隆一郎著         源草社     
和漢薬の良否鑑別法及調製方  一色直太郎著         谷口書店
傷寒論講義          奥田謙蔵著          医道の日本社 
症例実解漢方薬学       小池一男・庄子昇・塚田健一  京都廣川書店
古方の薬味          根本義雄著
漢方腹証講座         藤平健著           緑書
薬徴提要           鈴木寛彦の見解