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むつごろう薬局「自然の漢方薬で赤ちゃんはきっとできる」

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むつごろう畑の近況報告

静岡の薬草畑も少しずつ秋を感じるようになりました。芍薬の地上部は枯れていますが、当帰は、まだまだ成長しています。秋の収穫が楽しみです。


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新しい紫雲膏が出来上がりました。一日がかりで出来上がりました。店内は紫雲膏の香りで一杯です。この紫雲膏は、真岡の塚田先生から伝授頂いた海老塚流紫雲膏です。


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漢方勉強会「無門塾(北里大学)」の発表 柴胡(さいこ)

2014年05月16日

「薬徴提要」

平成26年度・無門塾(第19回)北里大学薬学部(港区白金)【平成26年5月11日、13時30分〜14時00分】

柴胡

はじめに

有機肥料は近くの牧場の牛糞を中心に、そこに、落ち葉ともみ殻、おからなどを混ぜて作る。初めは、”青緑の生糞”であるため、アンモニア臭が、鼻に突き刺さる。堆肥小屋に運ばれた生糞は、光と水と空気によって発酵され、熱を発する。寒い朝に堆肥から湯気が立ち上る。私たちの体内にある堆肥置場(大腸)が、活発に働いていないと冷え症になってしまうのもよくわかる。牛生糞は、半年もすればなかなか良い堆肥になる。梅雨の前に1回花の開く前にもう1回堆肥をあげると柴胡はとてもよく成長した。今でも、この牛糞運びが、私の人生の肥しとなっている。

3月、春の彼岸を過ぎてから、ミシマサイコ発祥の地静岡の畑に柴胡の種を蒔いた。畝幅60㎝であったと記憶している。畝の上を、板を使って平らにし、棒で筋を引き、種を握り少しずつ蒔いていく。30坪も無い小さな畑ではあったが私にとって記念すべき生薬栽培のスタートであった。震えるぐらいの喜びがこみあがってきたのもつかの間、2週間、3週間が経ちなかなか芽が出ない。その間雑草の勢いもよく、柴胡の発芽を見たことのない私にとって、不安でいっぱいになった。中村先生から、「柴胡は、根元を見ればわかる」とヒントをいただき、1ヶ月後根元が赤紫の柴胡が2本の可愛らしい耳を出した。待ちに待った柴胡の発芽であった。余談ではあるが生命力の強い雑草は伸びるスピードが速い。そして誰よりも早く種をつけようと頑張る。そのために、畑では、太陽の光の争奪戦が始まる。実に単純明快、光をものにできたものだけが生き延びられるルールがそこにある。繊細な1年目の柴胡は、すぐに雑草にやられてしまう。よって、9月まではひたすら雑草抜きに追われる。

4月から5月にかけて気温も上がり、畑は芍薬の花でにぎやかになる。依然として、成長が遅い柴胡を助けるために地上部の雑草を追い払う。雑草の勢いはまだそれほどではないが、気を緩めていると夏の時期に大変なことになる。枯れてしまう柴胡が出てくるのもこの時期だ。原因は土の中にある。雨が少ないこの時期、植物たちは水を求めて根をのばす。一見地上部の成長速度は微少であるが、目に見えない地下部は、激しい水の争奪戦の為、根と根の戦いが繰り広げられている。この時期の植物の動きを、「傷寒論的」で言う、少陽病期に似ている。病気の進行が一見落ち着いたように微少に見えるが、実は中で進行しているのが少陽病期である。柴胡は、地上部は大きくなるが、その根は2年目の収穫時期であっても細く小さい。ましてや、1年目は大変細くより小さい。地面を掘ってみると、雑草の根がびっしり柴胡の根を取り巻いた。逆にこの時期雨が多いと根の成長が悪く、収穫量が減る。

柴胡は、セリ科の多年草の根。最高級品は静岡県三島市周辺で採れる野生もので、「三島柴胡」といい、現在は流通していない。繊細な植物で、大変な思いをして育て上げたにもかかわらず、2年後の収穫量はごくわずかである。秋には可愛らしい黄色の花をつける。主成分はサイコサポニンで、精油成分を多く含むため収穫した葉っぱに火をつけると、めらめらとよく燃える。この精油が、人の肝臓を含む胸郭内に溜った汚れた油を溶かし流してくれるのだろうか。効能は、「胸脇の気熱を和す」を言い、「胸脇苦満」のときに使用する。「傷寒論」では病邪の胸郭内での戦いが始まり、その結果胸が苦しくなる状態である。付随して、微熱、口の苦味、めまい、のどの乾き、などの症状も現れる。柴胡に甘草を組み合わせれば、現代人のストレス症状に効果を表し、気分を安らかにすることから、私は、生理前のイライラやエリートの方の不妊症に使用しよい結果が出ている。

薬徴   :
胸脇苦満を主治する也。旁ら寒熱往来、腹中痛、脇下痞鞕を治す (吉益東洞)

重校薬徴 : 胸脇苦満を主治し、寒熱往来、腹中痛、黄疸を兼治す (尾台榕堂) 

古方薬議 :
味苦平、心腹を主り、寒熱邪気を去り、煩を除き、驚を止め、淡を消し、嗽を止め、婦人産前後の諸熱、及び熱血室に入り、経水不調を治し、血気を宣暢(せんちょう)し、気を下し、食を消(消火)す  (浅田宗伯)
(釋品・・・気味苦芳烈、油臭無き者を擇び用ゆべし、・・・・)

薬性提要 :
苦微寒、少陽の邪を発し、熱を退け、陽を升らせ、結気を散じ、経血を調え、瘧を治す
(多紀元簡(たきもとやす))

漢方フロンティア :
胸脇の気熱を和し、少陽部位の主薬となす
(鼠の尾のような形状をなした細長い根で、皮は赭黒色、内部は淡褐色、味は少し苦く香気のあるもの。野生品は殆どなくなったが、栽培品でも2年以上畑に置かないと気の充実したサイコは得られない。)

二味の薬徴 

柴胡・甘草 :
胸脇の気熱を和し切迫症状を緩和し、肝気の鬱血を散じて心煩を治す
(柴胡桂枝乾姜湯、四逆散、小柴胡湯、抑肝散、加味逍遙散、補中益気湯)

柴胡・黄芩 :
胸脇の気熱を和し心下以下の血鬱を下降し、胸脇苦満、往来寒熱、
嘔、心煩、欬、経水不利、血熱を治す。
(柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、柴胡去半夏加栝呂湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、大柴胡湯)

柴胡・枳実 :
胸脇の気熱を和し気滞を通じ、心下痞硬、胸脇苦満を治す
(四逆散、大柴胡湯)

柴胡・芍薬 :
胸脇の気熱を和し筋中の血流をよくし、拘攣、腹中痛を治す
(四逆散、大柴胡湯)

柴胡・人参 :
胸脇の気熱を和し堅塊を砕いて血脈を通わせ、心下痞硬を治す
(柴胡桂枝湯、小柴胡湯、柴胡加竜骨牡蠣湯)

薬徴提要 :
味苦寛、香微、胸脇の気熱を和す、月経前の気逆上昇、頸項強を治す

症例2 2年間の不妊症 33歳 女性 身長168㎝ 体重54kg

体質: 貧血気味で疲れやすく、神経質、多夢、胸脇満微結し、臍上動悸、渇、口唇乾燥、尿利渋滞し、頭部発汗傾向し下半身は冷える、大便1日1回、、肩首こり、腹痛、生理周期31日で順調、生理痛あり、生理前に胸の下が痛む、甘、辛、塩辛い味を好み、好物は肉、魚、油物、睡眠時間7-8時間、ルトラールを排卵後10日間服用。
舌診:湿潤して微白苔、舌深静脈やや怒張
脈診:弱
既往歴: 卵巣嚢腫で左卵巣摘出、多嚢胞性卵巣症候群

経過
柴胡桂枝乾姜湯(天津柴胡、河北黄芩、ベトナムNo3桂枝、内蒙古甘草、雲南乾姜、河北栝楼根、広島産牡蠣)を30日服用、胸の下の痛み、生理痛が無くなり、気持ちが安定。生理量1日目が多くなり冷えが良くなる。多夢は変化なし。今までの仕事のご苦労や、無敗のエリート人生における初めての挫折感を打ち明けられ、とめどない涙を流されていかれた。40日後、むくみ、口唇乾燥が無くなり、イライラがよい。4ヵ月後生理前の腹満がひどいため、桂枝茯苓丸(ベトナムNo3桂枝、北鮮茯苓、安徽牡丹皮、陝西桃仁、自家製芍薬)を兼用。5ヶ月目に自然妊娠された。

柴胡桂枝乾姜湯は、虚証と言えども証が合えば非常に短期間(約30分)で体の変化が起こる薬方である。その反面、胸脇苦満を確認しなければ急性肝炎や、間質生肺炎のアレルギーが起こる場合があるので気をつけなければいけない。

まとめ

静岡で耳鳴のお客様に柴胡桂枝湯がよく効くのは、「身土不二」の考えによるものであろうか。食事と全てを一緒にすることはできないが、自然の法則は実に面白いことが多い。柴胡剤は、少陽病の代表であり、その定綱は、「口苦、咽乾、目眩」と言われている。ただ、最終的な決定は、腹診による「胸脇苦満」を確認しなければならないと私は考えている。

また、柴胡の主成分サイコサポニンの含有量は1年物のほうが多いが、2年物を使うべきであると考えている。また、RAに柴胡剤は用いないほうがよい。

(参考文献)
漢法ナビゲーション      田畑隆一郎著         源草社  
漢方フロンティア       田畑隆一郎著         源草社       
漢方ルネサンス        田畑隆一郎著         源草社
傷寒論の謎          田畑隆一郎著         緑書房       
薬徴             田畑隆一郎著         源草社
よくわかる金匱要略      田畑隆一郎著         源草社       
漢方サインポスト       田畑隆一郎著         源草社
漢方 第三の医学       田畑隆一郎著         源草社     
和漢薬の良否鑑別法及調製方  一色直太郎著         谷口書店
傷寒論講義          奥田謙蔵著          医道の日本社 
症例実解漢方薬学       小池一男・庄子昇・塚田健一  京都廣川書店
古方の薬味          根本義雄著
漢方腹証講座         藤平健著           緑書房

むつごろう薬局 薬剤師 鈴木寛彦