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漢方勉強会 無門塾での講義の内容

2015年07月13日

平成27年度・無門塾(第20回7月)北里大学薬学部(港区白金)【平成27年7月12日、13時30分〜14時00分】

 

畑の中の三陰三陽(陽明病)

無門塾 鈴木 寛彦

陽明病

 

文月から葉月。灼熱の太陽から身を守るため、当帰、芍薬が葉を一杯に広げ、土の乾燥を防いでいる。夏の畑仕事は、お日様が昇る前が勝負で、早いときは3時に起きで4時半から仕事が始まる。早朝の畑はとても爽やかで、生命の力が溢れている。軽トラから降りて大きく深呼吸。先客が出迎えてくれる。キジの親子が楽しそうに当帰の間を走り回っているのである。しかし、この時期の草むしりはとても大変で、暑さや湿気に加えて蚋や蚊が露出した皮膚に突き刺さってくる。まぶたを刺され、お岩さんの顔で漢方相談するのも度々である。雑草は勢いがあるため、気を許すと当帰、芍薬に覆いかぶさってくる。畑仕事は精神的にも強くならないといけない。

 灼熱のこの時期は、傷寒論で言う「陽明病期」にあたる。「陽」とは発動上行の勢有る意味で、「明」とは明らかで、少しの陰証も無く、陽証が明らかなもので、陽証の極である。

 

「苟も陰状に些の疑點無き者は、之を陽明と謂う也」

「陽明病は、陽証の極にして、熱気表裏に瀰満し直ちに裏に於て結実す。故に胃実、腹満、せん語、悪熱、潮熱、濈然として汗出ず等の諸証を現わす。」    (傷寒論講義:奥田謙蔵)

 (濈然;連綿の貎;長く引き続いて絶えないさま・・奥田、 はやいさま・・大漢語林)

 少陽病期(5-6月)に、根を伸ばし、水を得て根を太らせた当帰や芍薬は、陽明病期(7-8月)に太陽の光をたっぷり浴びて栄養を根っ子に溜め込み、より大きくなる。この時期雑草との戦いは地上部での進展はないが地下部(裏)においてより一層のせめぎ合いとなる。天下分け目の関が原の決戦である。勝てば官軍(少陽病)。負ければ賊軍(陰虚証)。当帰、芍薬の根は、雑草の根と絡み合い、まるで一つの塊のような形となって戦っている。裏に於て結実する)余談であるが、薬草は雑草との戦いが激しいほど、自らを守る物質を多く産出するらしい。これが漢方薬の活性化物質となる。(ウチダ和漢薬 川崎武志)

 

陽明病の提綱

陽明病の病たる、胃家実也。

(胃とは、汎く腹裏を指す。家とは内也。中也。胃家とは、胃中の意なり。実とは邪実を言う。胃家実とは、病、裏の位に在りて、食物、水分、病勢の為に乾燥して腹内に結実するとの意也。生理的に胃気自づから強盛になる意に非ず。

 

傷寒論中の陽明病篇は、裏に於て結実す」者で無ければならないため、その判断を間違わないように慎重を期している。論のはじめに胃家実をあげ、続いて①邪熱の既に実する、未だ実せざる(215章-227章)、或は②表未だ解せざる(228-243)、及び③その他変証数章(244-271)を挙げている。陽明病の病勢は、熱気表裏に充満で、その深浅軽重は糞便に徴す。大便難、不大便、大便鞕、燥糞(浅→深)。虚実は、実のみとなる。(―章は、傷寒論講義 奥田謙蔵著)

 

陽明病期の主症状

食物、水分腸管に結実して便秘、腹満、せん語、持続熱、全身に熱臭のある発汗。

 

漢方薬・・・白虎湯、調胃承気湯、小承気湯、大承気湯、

桃核承気湯、抵当湯、茵陳蒿湯

 

陽明病期に応ずる二味の薬徴

「大黄・甘草」;大便の急迫秘閉を和緩し通じる

「枳実・大黄」;気を破り水を行らし二便の結を通じる

「桃仁・大黄」;畜血を破り血滞を散らし二便の結を通じる

「大黄・芒硝」;燥を潤し堅を軟らげ二便の結を通じる

 

病邪が裏(腸管)まで侵入を許した陽明病期(8,9日)は、病人は40℃の高熱と熱臭を伴う汗が出て、暑さに苦しみ、うわ言をいい、暴れ苦しむ。脈候は実し、舌は乾燥した黄苔、褐色苔、腹満し便秘となる。病邪の力が強いため、体力も総動員で立ち向かう。戦いの長期化は避けなければならない。よって瀉下剤の一発勝負となる。もししくじれば、危険な状態に陥ることになる。よってその使い方はとても慎重で事細かに病状を確認しなければならない。急性疾患では出番が少ないが慢性疾患に応用してみると、煩渇で汗、尿自利であれば白虎加人参湯。黄疸で頭汗、二便不利、渇があれば茵陳蒿湯。熱があり腹満して便秘は調胃承気湯。大便秘結、蒸すような汗があれば小承気湯

 

(症例1)

急性肺炎で高熱があり数日便秘しているものに、脈が浮大弱なのに調胃承気湯を頓服せしめたら、その夜十数回下痢した。翌朝診ると、熱は却って高く40℃を越す。脈乱れて力なく、眼球上転して呼吸促迫し、重篤な様相を呈している。驚いて真武湯を与えたら脈が整い、一般状態が好転して一命を取り留めたことがある。熱性病の経過中に便秘になった時は、特に腹や脈に注意して下剤を与えなくてはならない。数日便秘しても、脈が弱って力がない、舌が湿って腹に力がない場合には慎重に薬方を選ばなくてはならない。このような場合は四逆湯を用いたほうがよく、かえって通じのつくことが多い。               (大塚敬節)

(症例2)

 パーキンソン病の方に、小承気湯と芍薬甘草湯を与えたが、状態が軽減するどころか、ひどいお漏らし下痢をしてしまったと、強く怒られた経験がある。         (鈴木寛彦)

 

(三承気湯の使い分け)

大承気湯 ;燥を潤し堅を軟らげ、腹実満を瀉下する。

小承気湯 ;を融解し通じ、腹満を去り、胃気を和す。

調胃承気湯;邪熱胃に欝滞し、津液乾燥し、急迫して胃気和せざるを調和する。

 

           

 

 

   まとめ   

 

 

 

証の流れ(陽明病篇)    

病位    :陽明病

提綱    :陽明病の病たる、胃家実也

       (提綱とは、事の主要な点をあげること)

主発現部位 :裏=消化器(腹中)

病勢    :熱気表裏に充満。鞕、難、不大便。大便不通。

主症状   :食物、水分腸管に結実して便秘、腹満、せん語、持続熱、全身に熱臭のある発汗。

治病原則  :瀉下

二味の薬徴 :「大黄・甘草」、「枳実・大黄」、「桃仁・大黄」、「大黄・芒硝」

 

 

(参考文献)

漢方フロンティア       田畑隆一郎著         源草社           

漢方サインポスト       田畑隆一郎著         源草社

傷寒論講義          奥田謙蔵著          医道の日本社 

傷寒論講義 研究       塚田健一  

静岡県静岡市葵区東草深町22-1 むつごろう薬局 薬剤師 鈴木寛彦