人間は、甘いほう、楽なほう、安易なほうへと流されていく生き物だと思う。それはそれで進歩発展へとつながることもあり、楽しく生きるために必要なことではあると思うのだが、行き過ぎたとき、それは病気へと変わる。人は病むことで、生き方、食べ方の誤りを考え、それを正し、改善していかなければならない。そしてそれを突き詰めていくと、やはり昔の日本人が行っていたような自然に従った食生活が最も身体に良いような気がする。私達漢方家は、自らが自然と戯(たわむ)れ、学び、実践し、患者さんにそれを伝えていかなければならない。決して安易な風潮に流されてはならない。
薬剤師 白井憲太郎
この時季になりますと、風邪を引いて畑を休むことがあります。すると、不思議と、スナック菓子や甘い物などの体に悪い物が欲しくなったり、また、取り越し苦労や妄想、あせり感、不安感、などが増長されたりします。
漢方の考えに、"心身一如(しんしんいちにょ)"というものがあります。これは、「心も体も一体である」という意味です。鍛錬を怠り、自分の体を甘やかしますと、心に余裕が生まれます。しかしながら、この余裕は、得てして、"取り越し苦労""被害妄想""あせり""不安"などの余計な雑念に使われる場合が多く、精神を乱し、肉体に悪影響を及ぼす場合がほとんどです。また、鍛錬を怠れば、筋力が低下し、疲労しやすくなるため、自然と"甘い物"や"しょっぱい物"が欲しくなります。そのため、体の中では、筋肉の減少と同時に、"脂肪"や"水分"の増加を招きます。漢方では、余分な脂肪や水分を"血毒(けつどく)"及び"水毒(すいどく)"と呼んで、万病の根源と考えています。"鍛錬"は、体の中の無駄(余分な脂肪や水分)を減らし、頭の中の無駄(取り越し苦労や妄想)も無くしてくれます。マイナス思考をプラスに変えるには、"鍛錬"は欠かせません。職場で嫌なことがあった時、将来のことが不安になった時、病気が思うように治らない時、何かイライラする時、そういう時に鍛錬を行なうと、不思議と精神が安定してきます。
今、私達現代人の生活は、自動車での移動、デスクワークなど、運動することからかなり遠ざかっています。また、インターネットなどで情報が出回り、余計なことで頭ばかりを悩ませます。妄想は、人間に苦痛を与え、やる気を低下させるだけです。まずは、運動をして汗をかき、体の中から余分な水や毒を出し、そしてそれと同時に、頭の中から"妄想""不安""あせり"などの雑念を断ち切ることが、病気を治す上では、とても大切です。鍛錬は"雑念"を追い払ってくれます。皆さん、まずは外に出て、初めの一歩を踏み出してみてください。きっと何かが変わるはずです。
薬剤師兼百姓 白井憲太郎

