霜が一面を覆い始める初冬の朝、むつごろう当帰(とうき)の収穫が始まる。種(たね)から世話をしてきたせいか、"ただの草根"とは割り切れない何か愛情のようなものが湧き、一本一本丁寧に掘り起こす。
当帰は収穫の後、約一ヶ月間天日干しにしてジワジワと乾燥させ、その後、湯もみして再び乾燥させ、粉砕して使用する。ここで最も大切なポイントは、約一ヶ月間の天日干しである。手間ひまを考えれば、乾燥機で乾燥したほうが手っ取り早いのだが、温熱でただ水分を飛ばして乾燥させるのと、紫外線・赤外線・放射線などの太陽光線を浴びて化学反応を起こしながらジワジワと乾燥していくのとでは、匂い・味・風味はもちろん、薬効にもかなりの差がでる。太陽には不思議な力がある。カボチャやジャガイモ、トマトなどの野菜もそうだが、日照時間が短いと実があまり着かない。植物は太陽の力を借りて光合成をし、栄養を実に蓄える。また太陽は、植物を始めとする、私達人間や動物、昆虫などのあらゆる生物を誕生させ、生命を育んできた。太陽は生命の源と言っても過言ではないだろう。しかし今、私達現代人はどうだろうか。太陽に背を向けて生きてはいないだろうか。毎朝自動車で通勤し、日が暮れるまでビルディングの中でパソコンと向き合い、休日はテレビやゲームをして家でゴロゴロしていては、太陽の恩恵をこうむることはできない。日本人がまだ農業を主としていた時代は、毎日お日様の下で仕事ができ、子供達は野原を駆けずり回って遊んでいた。お日様の下での肉体労働は、身体を頑丈にして筋骨を強め、男性は精力を増し、女性は子沢山に恵まれていた。以前話題となっていた番組"オーラの泉"でも江原さんや美輪さんがよく言っていたが、現代人は目に見えないものを粗末にして、目に見える物質的なものばかりを欲していると・・・。太陽の力は肉眼では見えないが、それは万物を産み出すことができる偉大なエネルギーである。逆に、物質・経済優先の現代社会では、運動不足・栄養バランスの欠如・夜型人間を増やし、現代医学では解決できない難病を生み出すことへとつながった。できればお日様の下で、規則正しい生活をしたいものである。
蛇足にはなるが、不妊症の体外受精の成功率は、日照時間の長い夏が最も高いとイギリスの学会で報告されている。
薬剤師 白井憲太郎

