不妊歴6年 36歳女性 身長149cm体重40kg
これまでの治療は、タイミング法とAIH4回。子宮筋腫と子宮ポリープがあり、手術で切除。プロラクチンが高いのでテルロン(プロラクチンを抑える薬)を服用している。体質的には、胃腸が弱くて冷え性、生理痛も激しい。また、かなり遠方からの御来局だった。
この方には、胃腸を丈夫にする小建中湯(しょうけんちゅうとう)と、体を温める当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)をお出しした。が、不思議なことに、漢方薬を飲み始めて五日後に電話があり、妊娠反応が出ているとのことだった。
これは、いつも着床していて、育つ段階で上手くいかず、漢方薬で子宮が温まって上手くいったのか、たまたまだったのか、もしくは遠方よりいらっしゃったことで、気分転換になり安心されたのか、いまだに謎である。
今月のおめでたH21年10月15日
36歳女性 不妊歴8年 身長166cm体重53kg
5年前に一度自然妊娠するも、6週目で流産。その後、AIHや顕微授精を試みたが効なく、漢方薬を試してみたいと御来局された。体質的には、手足が冷たく、冷え性で、偏頭痛が激しい。頭痛発作時には、鎮痛剤を服用。排卵時や生理前にも頭痛がある。また、肩がこり、疲れやすくて、冷えると腹痛、下痢がある。基礎体温の低温期が、35度台のこともある。好きなものは、果物が好きで、コーヒーも一日2から3杯飲む。下の裏側を見せてもらうと、静脈が紫色にうっ血していた。
この方の不妊は、子宮の冷えに原因があると考え、子宮を暖める当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を処方しました。すると、手足がよく温まり、偏頭痛が軽減してきたということでした。また、基礎体温も高くなり、低温期に、36度を切ることもなくなりました。引き続き、同処方を飲んでいただいたところ、3ヶ月もすると、下の裏側の静脈も見えなくなり、お腹もずいぶんと温まってきているとのことでした。それから約半年がたったころ、自然妊娠されましたが、若干の出血もあったため、処方を芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)に変えました。この漢方薬は、流産防止としてよく使用します。すると、出血も止まり、無事流産することなく、ご出産されました。
33歳女性 身長162cm体重61kg
赤ちゃんを作ろうと考えて5年が経っているがなかなか授からない。昨年から病院でタイミング療法を行なっている(クロミッド、黄体ホルモン剤等使用)。病院での検査では夫婦ともに異常はない。生理周期も28~30日で、生理痛は少しあるが、たまにバファリンを飲む程度で大きな問題は無い。
ただ、漢方的には、"水毒体質(すいどくたいしつ)"がうかがえる。
例えば、顔色は水っぽいような色白で、じとじとした汗をかきやすく、お腹の肉は柔らかくブヨブヨとしているとのことだった。また、全身に(水っぽい)湿疹ができやすく、つぶすと黄色い液が出るという。食べる物の好みは、果物(ミカン、バナナ、イチゴなど)や生野菜、飴やチョコレートなどの甘い物が多い。それと、コーヒーも1日に4~5杯は飲むとのことだった。また、アレルギー性鼻炎もあり、冷え性である。
漢方ではこういう体質を"水毒"と呼ぶ。これは、身体に余分な水が溜まっている状態で、"不妊症"の原因になる。まずは、水毒を改善する防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)を処方した。すると、1ヶ月が経ちご来店されると、とてもニコニコとされていた。妊娠されたのかと思ったが、そうではなく、体重が3kg落ちたとのことだった。漢方薬を飲むようになってから、お小水や大便がたくさん出るようになり、気が付いたら体重が3kg落ちていたそうだ。肥満も不妊症の原因になるので、体重が落ちることはとても大切である。引き続き防已黄耆湯を飲んでもらった。その後は、体重はさらに2kg落ちたが、それ以上はなかなか減らなかった。ただ、全身に出ていた湿疹は出なくなり、体調が良かったので、引き続き同処方を飲んで頂いたところ、約1年後に自然妊娠されました。
35歳女性 身長156cm体重53kg 不妊歴4年
3年間、自然周期でタイミングを合わせていたが妊娠できず、去年より病院へ行き始めたそうですが、夫婦とも特に異常はないと言われたそうです。ただ、奥様のほうが、冷えや肩こり、生理痛が強いために、漢方で体質改善を、と御来局されました。
基礎体温表を見せてもらうと、排卵日は16から19日目(正常14~15日目)とやや遅れ気味でしたが、体温は高温期と低温期がしっかりと2層に分かれていました。顔色は、色白で貧血っぽく、血圧は上が80から90、下が50から60と低めでした。また、生理の頃になると、肩がこり、首筋が張って、頭をしめつけられるような感じがあり、生理痛も激しくあります。
好きな食べ物は、甘い物で、週末にはビールやワインを飲みます。油っこい食べ物は、胃もたれなどを起こしやすいため、たくさんは食べられません。
漢方では、生理前後などに、頭がしめつけられる状態になることを"頭冒(ずぼう)"と呼んでいます。頭冒になりやすい体質の人は、「水毒」や「血虚」の人です。水毒とは、身体に余分な水が溜まっている人のことで、血虚とは、血が薄まって足りない状態の人のことを言います。こういう状態の時には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)という漢方薬を使います。この方にも当帰芍薬散をお出しすると同時に、身体を冷やすビール・ワインを日本酒に変えてもらい、水っぽい生野菜や果物を控えて、血虚を治す、ごはん(できれば玄米)や根菜、豆、肉、魚を多くとるようにアドバイスしました。
2ヵ月もすると、生理時の頭痛や下腹部痛がなくなり、顔色もだんだんと良くなってこられました。そしてこの頃から、縄跳びも一日1000回を目安に頑張ってもらうことにしました。それから、血圧も上が100を超えるようになり、半年後に自然妊娠されました。
不育症 37歳女性 身長153cm体重38kg
結婚して12年が経過し、これまでにタイミング療法などで4回ほど妊娠するものの、すべて6~10週で流産してしまうと言います。子宮内膜症や卵巣のう腫などの病気は特に無いそうです。
私の見たところ、この方は非常に痩せており、色白で、栄養失調(貧血)気味に見えましたので、「胃腸は弱くありませんか?」とお尋ねしたところ、「冷たい牛乳などを飲むとすぐ下痢をしてしまう」とのことでした。また、この方は、身体を冷やす、果物やアイスクリーム、甘い物を好むようでした。舌びらを見せてもらうと、舌は湿っており、縁(ふち)にはギザギザと、歯型が付いていました。また、ご主人様には特に問題は無いようでした。
私はこの方にはまず、「もう少し胃腸を丈夫にして、身体に栄養を付けさせてあげたいですね」と申し上げました。舌の縁がギザギザしているのは、胃腸に余分な水が溜まっているせいで、このために身体が冷えて弱り、赤ちゃんを育てる力が出てこないと考えられます。そこでまず、胃腸の余分な水を取り除く、人参湯(にんじんとう)という漢方薬をお飲みいただきました。すると、飲み始めた頃に、お小水がたくさん出て、だんだん身体が温まってきたとのことでした。それから、人参湯を2ヶ月間続けて頂いたところで、子宮に栄養を付ける、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)という漢方薬をお出ししました。この薬には、もち米から作った"飴"が入っており、子宮に力(栄養)を付けていきます。そして、この薬を約半年間続けて頂いた頃、自然妊娠されました。そこで、つわりがひどい時以外は、この当帰建中湯を続けて頂くことにしましたところ、無事流産することなく、ご出産に至ることができました。

