漢方の臨床(2011年7月第58巻・第7号)の内容
抑肝散加陳皮半夏芍薬と不妊症
東邦大学二階堂名誉教授に誘われて長野県安曇野市を訪れたのは、2008年7月初旬であった。先生が安曇野に移り住んで薬草研究会を地元の農家の方と立ち上げたのだ。二階堂名誉教授とは2001年の東邦大学での漢方フォーラムからお世話になっていて、私の師田畑隆一郎先生と大の仲良しであり、懐の深さには大変引きつけられるものがある。そんな先生からの希望もあり、生薬栽培のお手伝いをさせていただくことになった。個人的にも長野県は私のあこがれの土地でもあり、お世話になった方も多い。また、蕎麦には目がない私にとって、戸隠の蕎麦を頂く楽しみも加わる。空気良し、水良しの最高の環境に芍薬や当帰が育っていくことを想像するだけで、心が躍る。芍薬は2003年に東邦大学から頂いた大和芍薬を、むつごろう畑にて育て、その一部を5年後に収穫し、株分けをしたものである。いわば孫株をお返ししたことになる。その時の奮闘記は、漢方の臨床第55巻12号(2008)で詳しく書かせていただいたのでご覧頂けば幸いである。当帰は、2007年に収穫した種から苗を作りお送りしたものである。麻布松柏堂医院の中村篤彦先生から薬草作りを教わり、見よう見まねで出来上がった思いでいっぱいの芍薬、当帰の嫁入りである。
不妊症に力を入れている私たちにとって、芍薬、当帰の品質とその性質を知ることはとても重要である。化学的ではないが、それを知ることは子育てと同じで、自分の手を使って育ててみることが一番だと田畑先生は言う。そこから生まれる感覚が漢方のセンスに繋がるのではないかと感じる。
医師・薬剤師リレー治験録(86)
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