3年前より、膝の痛みを感じるようになった。両膝とも痛いが、左足のほうが特に痛む。ひどいと水が溜まり、病院で抜いてもらう。健康食品を飲んだり、ヒアルロン酸の注射をしてみたが、なかなか改善されないため、漢方薬を試してみようと御来局された。
体質は、冷え性で寒がり、疲れやすい。また、夏場は汗をかきやすく、少し動いただけでも顔からしたたるという。小水は4~5回/日、大便は1回/日。甘い物をよく食べると言う。花粉症あり。足を見せてもらうと、膝の辺りがかなりむくんでおり、ぶよぶよとした感じがある。また、太い静脈瘤ができていた。
漢方薬の防已黄耆湯合当帰四逆湯を処方。飲み始めて1ヵ月後に来局されると、お小水がよく出るようになり、膝の痛みが少し和らいでいるという。また、足が温まっているとのこと。そのまま継続してもらうと、次第に痛みはとれていき、約1年後には、痛みはほぼ無くなった。また、体重が4kgほど落ちたと喜んでおられた。
この方の場合、平素から甘い物を好み、お饅頭や菓子パン、ミカンなどを毎日のように食べておられたため、身体に余分な水分が溜まってしまい、体重も増え、膝にかなりの負担が来ていた。防已黄耆湯は、余分な水を除き、当帰四逆湯は膝を温めていくことで、次第に痛みが和らぎ、おまけに体重まで落ち、膝の負担が減ったと考えられる。この方には、漢方薬を飲むと同時に、甘い物の摂り過ぎも控えてもらった。
3年前より不妊治療をしている。病院での診断は、多のう胞性卵巣。自力での妊娠は難しいと言われ、体外受精を試みたが、HMG注射を使った際、卵巣がひどくはれ、腹水も溜まって体調を崩した。その後、一時治療を止めてみたが、半年経っても生理が来ないため、副作用の出にくい漢方薬を試してみようと御来局された。
顔色は少し赤みを帯び、舌の裏に太い紫色の静脈怒張がある。足は冷え、便秘気味で、イライラしやすい。肩こり、頭痛、目の疲れがある。甘い物をよく食べる。
漢方薬の加味逍遥散を処方。飲み始めて2週間位した頃に一度発熱し、下痢し、その後生理が来た。そのまま加味逍遥散を継続。初めうちは黒っぽい大便が出て、その後大便が毎日出るようになった。イライラ感も減り、一ヵ月後にまた生理が来た。それからは、冷え性が今ひとつ改善されなかったため、当帰芍薬散と加味逍遥散を交互に服用してもらうことにした。その後順調に生理も来るようになり、約2年が経過した頃、無事自然妊娠された。
この方の場合、元来の甘い物好きと、不妊治療によるストレスや、もともと薬が身体に合わなかったことも重なり、身体に瘀血が溜まり、これが生理が止まった原因になっていたと考えられる。加味逍遥散は、瘀血を、黒っぽい大便で排出したと考えられる。2週間後に出た発熱や下痢も、漢方薬が効いたときに起こる好転反応と考えられる。
3年位前から足がしびれるようになり、病院で注射を打ったり、整骨院や鍼灸、整体に行ったが改善されない。両足にしびれがあるが、左足のほうがひどく、太もものあたりから足の先までしびれがある。冬場のほうが悪化する。手足はかなり冷えやすい。
体質は、色が白く、胃腸は丈夫だが、冷え性で腰痛がある。また肩もこりやすい。大便は毎日あり、小水は寒いと頻尿になる。食べ物は、甘い物を好むと言われ、ミカンなどもよく食べると言う。
漢方薬の当帰四逆湯を処方。煎じて飲むと、手足がポカポカ温まって良いと言う。さらに飲み始めて3週間が経った頃よりしびれが和らぎ始め、約半年間の服用でしびれは無くなった。
この方のしびれは、体表部に"水毒"があり、それが冷えると縮んで血行障害を起こし、しびれ感をもたらしていた。当帰四逆湯は、体表の水毒を除き、血行を改善することでしびれを改善する。また、この方の場合、水毒の原因となる、甘い物やミカンなどを控えてもらうようにお伝えした。
半年前に風邪を引いて、風邪は治ったものの咳だけが収まらないとのこと。病院でもらった咳止めや抗アレルギー剤、漢方薬など、いろいろ試したが治らない。咳は、乾燥した咳で、一度起こると止まらなく連続で起こる。痰は出にくく、のどの痛みは無い。体質は、もともと丈夫だが、アレルギー性鼻炎やほこりなどで咳は出やすい。舌を見せてもらうと白いコケが付いている。また、晩酌はビール1~2本/日、たばこを日に10~20本、脂っこいものや肉料理を好む。
漢方薬の柴陥湯を処方。飲み始めてしばらくすると、水っぽい痰が出始め、その後咳が収まってきた。約1ヶ月の服用で咳は出なくなった。その後も咳が出ることがあるが、この処方を服用するとすぐに収まるという。
この方の場合、酒やたばこ、肉料理など、普段から"毒"が胸部に溜まっており、これが風邪を引き金として咳をもたらしたと考えられる。柴陥湯は、胸部の毒を流すことで咳を治す。
中学生になった頃より便秘気味になる。市販の便秘薬を飲むと、お腹が張ったり痛くなり下す。またガスが溜まりやすい。知人に漢方薬を勧められ、来局された。
体質は、冷え性で寒がり、胃腸が弱く疲れやすい。生理は順調だが、生理痛はひどく鎮痛剤を必ず飲む。大便は5~7日に1回くらい。小水は近い。甘い物は好き。ニキビも出来やすい。
漢方薬の当帰建中湯を処方。飲み始めて少ししてから、2~3日に1回大便が出るようになった。下痢や腹痛は起こらず、ガスもたまらない。そのまま同処方を継続。その後、生理が来たが、生理痛も軽くなり、鎮痛剤を飲まないでも平気だと言う。また、冷え性も改善され、約1年間漢方薬を続け、便秘症は改善された。
この方の便秘は、腸の働きが落ちているために起きていると考えられる。この場合、市販の下剤を飲むと、刺激が強すぎ、腹痛を伴って下痢をする。この方の腸は、おそらく、アイスクリームやチョコレートなどをよく食べていたため、働きが悪化していたのだろう。当帰建中湯は、腸を温め、血液循環を改善し、動きを良くする。また、腸や子宮のまわりの筋肉を和らげて、腹痛や生理痛を改善する効能もある。

