数年前より小水が近くなり、冬場には日に15~20回くらい出る。また、寒いところや冷えたりすると、何度ももよおし、残尿感も出る。膀胱炎にもなりやすい。体質的には色白で、冷え性の寒がり、冬場は電気毛布がかかせない。また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を好み、聞けば冬でも冷たいまま飲んだり食べたりしているとのことだった。
漢方薬は苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)を処方し、冷たい牛乳やヨーグルトを食べたりするときは、レンジで温めてもらうようにしてもらった。服用後すぐは、小水がかなり増えたが、その後1ヶ月が経つと、小水の数が少しずつ減ってきたとのこと。さらに1ヵ月後には、日に7~10回程度になり、残尿感もなくなった。
漢方では、頻尿または尿が出ないという人の体質を"水毒体質"という。水毒とは、体に余分な水が溜まっているために、それが悪さを起こすことである。この方の場合、水毒があるために、冷えると頻尿になっていた。漢方薬で水毒がのぞかれたので、頻尿が改善した。
52歳女性 身長164cm体重59kg
3年前より膀胱炎を繰り返す。毎回抗生物質を飲めば治るが、また疲れが溜まったり、寝不足が続いたりすると尿量が減り、残尿感や排尿痛が起こる。ひどい時は血尿が出ることもある。
体質的には、冷え症で疲れやすく、疲れが溜まると小水の調子が悪くなる。夜間尿も2~3回あり、すっきりとでないこともある。また、神経質なところもあり、時々夜眠れないこともある。
漢方薬は猪苓湯(ちょれいとう)を処方。飲み始めてすぐに小水がよく出るようになり、しばらく続けていると、膀胱炎を起こさなくなった。また、小水が気持ちよく出るようになったせいか、夜もぐっすりと眠れるようになった。
29歳女性 身長162cm体重49kg
20歳の頃より頻尿に悩む。多いときは1時間に2~3回出る。また、夜間尿も夏場で2~3回、冬場は4~5回ほどいく。体質的には冷え症、寒がりで汗が出にくい。顔色は青白く、ふらつきや立ちくらみがよく起こる。
また、普段の食生活を伺ってみると、毎朝冷たい牛乳を飲み、健康のためにヨーグルトや果物を毎日食べているとのことだった。また、コーヒーもホットで日に2~3杯飲む。
この方にはまず、牛乳を温めて飲むようにしてもらい、コーヒーは一日に1杯、果物やヨーグルトは少し控えてもらうようにした。そして漢方薬は膀胱を温める真武湯(しんぶとう)をお出しした。すると飲み始めて1週間頃から小水が少し減り、1ヶ月が経った頃から夜間尿はなくなった。それから漢方薬は半年ほど続けられたが、その後は頻尿にならずにすんでいる。
62歳男性 身長169cm体重66kg
40歳ころより糖が出始め、血糖値300、HbA1C9になったころからインスリンを注射し始めた。インスリンを注射し始めてからは、血糖値は180mg/dl、HbA1C8くらいに落ち着いているが、そこから改善が見られなかった。自覚的な症状としては、口の渇きと夜間の頻尿(2~3回/日)があり、他にも下半身のだるさと腰痛、精力減退がある。また、腎機能がやや低下し始めた。クレアチニンが2mg/dl前後である。
まず漢方では、糖尿病を治療する際、単に血糖値を下げるというのではなく、その病人が、糖尿病になりやすい体質そのものを改善していく。この方の場合、糖尿病性腎臓病を併発し、夜間尿や精力減退があることを考えると、漢方でいう"腎虚(じんきょ)"の状態である。腎虚とは、腎臓や生殖器を含めた下半身機能の低下である。下半身機能の低下は、主に老化や暴飲暴食、運動不足などが原因であるが、下半身機能の低下は、血液中の糖代謝をてきめんに悪化させる。よってこの方には、下半身機能を活発にさせる八味地黄丸(はちみじおうがん)を処方した。
飲み始めて一ヵ月後、まず最初に変化がみられたのが精力のアップだった。そして下半身のだるさや夜間尿も少し良くなった。さらに二ヵ月後に、血液検査を行ったところ、血糖値154mg /dlHbA1C7.1と改善が見られた。その後は、急速に血糖値が改善されることはないが、クレアチニンの改善(1.5mg/dl前後)もみられ、現状維持の状態が続いている。

